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2026年度開始の排出量取引制度―企業が押さえるべき対応スケジュール

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2026年度からGX推進法に基づく排出量取引制度が開始します。本記事では、制度対象となる可能性がある企業に向けて、2026年度に確認すべき対象判定、9月30日までの届出・移行計画提出、2027年度以降の対応スケジュールを整理します。

この記事を読んで欲しい人
  • 2026年度から始まる排出量取引制度について、企業としての対応スケジュールを把握したい方
  • CO₂排出量の算定、報告、開示に関わる実務担当者
目次

導入

2026年度から、GX推進法に基づく排出量取引制度が開始します。制度の内容を理解することも重要ですが、企業実務においてまず押さえたいのは、「いつまでに、何を確認し、どのような手続きを行う必要があるのか」という対応スケジュールです。

特に制度開始初年度である2026年度は、通常年度とは異なる特例スケジュールが設けられています。対象となる可能性がある企業は、2026年度中に必要な対応と、2027年度以降に持ち越される対応を分けて把握しておく必要があります。

本記事では、経済産業省の資料をもとに、企業が押さえるべき排出量取引制度の対応スケジュールを整理します。

2026年度から排出量取引制度が開始

2026年度から、GX推進法に基づく排出量取引制度が始まります。
この制度では、一定の基準に該当する事業者が制度対象者となり、CO₂直接排出量などを算定・報告します。制度対象者には排出枠が割り当てられ、毎年度の排出実績に応じて必要な排出枠を保有することが求められます。

ただし、制度開始初年度である2026年度は、すべての手続きが一斉に本格化するわけではありません。企業としては、2026年度に必要な対応と、2027年度以降に備えるべき対応を分けて整理しておくことが重要です。

まず確認すべきは制度対象かどうか

最初に確認すべきなのは、自社が制度対象に該当するかどうかです。

制度対象となるかどうかは、CO₂の直接排出量をもとに判定されます。具体的には、前年度までの直近3年度におけるCO₂直接排出量の平均が10万tCO₂以上の場合、制度対象となります。2026年度の制度開始時点では、2023年度、2024年度、2025年度の排出量を確認することになります。

重要なのは、対象となるのが「直接排出」である点です。直接排出とは、燃料の燃焼や製品の製造など、自社の活動によって直接発生するCO₂を指します。一般にScope1と呼ばれる排出に近い考え方です。

一方、他社から供給された電気や熱、蒸気の使用に伴う間接排出、いわゆるScope2にあたる排出は、この制度の対象となる直接排出には含まれません。また、対象となる温室効果ガスはCO₂であり、メタンなどCO₂以外の温室効果ガスは対象外とされています。 そのため、まずは自社の排出量データを確認し、どの排出が制度上の直接排出に該当するのかを整理することが出発点になります。

2026年4月1日から排出量の算定が始まる

制度対象となる企業では、2026年度分のCO₂直接排出量等について、2026年4月1日から制度上の算定対象期間が始まります。

もっとも、対象となる規模の企業であれば、温対法に基づく算定・報告・公表制度やサステナビリティ開示、社内の環境管理などを通じて、すでにScope1にあたる排出量を把握しているケースも多いでしょう。

そのため、2026年度の対応は「排出量算定をゼロから始める」というよりも、既存の算定体制を排出量取引制度に対応できる形へ整えることが中心になります。制度上の対象範囲、活動量データや排出係数の管理方法、報告に必要な根拠資料の整理などを、早い段階で確認しておくことが重要です。

また、2026年度分の排出実績量は、翌年度以降の報告や登録確認機関による確認につながります。社内のデータ収集体制、担当部署、承認フロー、外部確認への対応方針もあわせて整理しておきましょう。

2026年9月30日までに必要な2つの対応

2026年度に制度対象となる企業にとって、最初の大きな期限は2026年9月30日です。

この日までに必要となる主な対応は、次の2つです。

1つ目は、年度平均排出量(前年度までの直近3年度における CO2の直接排出量を平均した量)等の届出です。制度対象となるかどうかの判定に関わる排出量を算定し、必要な情報を届け出ます。2026年度に行うこの届出については、登録確認機関による確認は不要とされています。

2つ目は、移行計画の提出です。制度対象者は、2030年度までの直接排出・間接排出の削減目標や、削減に向けた投資計画などを含む移行計画を策定し、提出する必要があります。

移行計画はこれからの自社の経営にも関わる重要な計画です。そのため、これから策定を始める企業の皆様は制度対応のためだけの計画ではなく、未来を見据えた、価値のかる計画にするために、可能な限り早期に検討を進めることを推奨します。

2027年度以降に向けて準備したいこと

2027年度以降は、排出量取引制度への対応がより本格化します。

2026年度分の排出実績量については、翌年度に報告が必要になります。また、排出枠の割当て、排出実績に応じた排出枠の保有、必要に応じた排出枠の調達など、制度対応の実務が進んでいきます。

制度上、排出実績量の報告は制度対象年度の翌年度9月30日まで、排出枠の保有は翌年度1月31日までとされています。

また、届出などの手続きは、ERMSと呼ばれる運用システムを通じて行われる予定です。ERMSは2026年6月頃に公開・運用開始予定とされているため、制度対象となる企業は、システム利用に向けた社内体制や権限設定、必要情報の整理も早めに確認しておくとよいでしょう。

2026年度は、9月30日の届出対応だけでなく、2027年度以降に続く実績報告や排出枠管理に向けた準備期間でもあります。

まとめ

2026年度から始まる排出量取引制度では、まず自社が制度対象に該当するかを確認することが出発点になります。前年度までの直近3年度におけるCO₂直接排出量の平均が10万tCO₂以上となる場合、制度対象となります。

制度対象となる企業は、2026年4月1日から制度上の算定対象期間が始まり、9月30日までに年度平均排出量等の届出と移行計画の提出が必要になります。一方で、初年度特例により、2026年度分の排出目標量等合計量の届出や排出枠の割当ては2027年度に行われます。

2026年度は、単なる届出対応の年ではなく、2027年度以降に本格化する実績報告や排出枠管理に向けた準備期間でもあります。対象判定、排出量データの確認、移行計画の策定、ERMSの利用準備を早めに整理し、対応スケジュールに落とし込む必要があります。

参考文献

ets__leaflet.pdf(経済産業省)

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