J―クレジットやボランタリークレジットの価格が急上昇する背景を、GX-ETSや市場動向から解説。価格高騰の要因と今後の見通し、需要家。創出側双方への影響を分かりやすく整理します。本コラムは2025年12月上旬時点の情報を基に作成しております。
・GX-ETSやカーボン・クレジットの活用を検討している企業の環境・ESG・経営企画担当者
・J-クレジットの調達コストや将来価格に不安を感じている需要家企業
・省エネ・再エネ・吸収源プロジェクトなどでクレジット創出を検討している事業者
・カーボン・クレジット市場の価格形成や制度動向を体系的に理解したい方
導入
カーボン・ニュートラル実現に向けた動きが世界的に加速する中、カーボン・クレジット市場への注目が急速に高まっています。日本においても、2023年に東京証券取引所でカーボン・クレジット市場が開設され、GX-ETSの本格運用を見据えた議論が活発化しています、こうした流れを背景に、J‐クレジットの価格は2025年に入ってから大きく上昇し、特に省エネクレジットでは、短期間で数倍の水準に達しています。 本コラムでは、J-クレジットおよびボランタリークレジットの価格推移を整理するとともに、価格上昇の要因や市場構造の特徴、今後の価格動向の考え方について解説します。需要家側・創出側の双方にとって重要性が高まるクレジット市場を理解する一助となれば幸いです。
J-クレジットやボランタリークレジットの価格推移
近年カーボン・ニュートラル実現に向けて、世界各国で市場メカニズムを活用したカーボンプライシングに関する取り組みが活性化しています。世界銀行が公開しているカーボンプライシングダッシュボードを確認すると、図1に示すように52か国でETS等のコンプライアンスメカニズムが導入され、17か国でカーボンクレジット市場が運用されています。(2025年12月公開情報より)。こうした制度は、2024年に世界全体で1000億ドルを超える公的歳入を生み出しています。

図1. コンプライアンスメカニズム及びカーボン・クレジット市場を有する国
Carbon Pricing Dashboard | Up-to-date overview of carbon pricing initiatives
日本国内においても、2023年10月に東京証券取引所において、カーボン・クレジット市場が開設され、GX-ETSの本格運用に向けて様々な議論が活発になされています。実際に相談のお問い合わせも増加傾向にあり、クレジット制度全般に関する感心の高まりを感じています。 このような盛り上がりの影響もあって、日本のカーボン・クレジット制度であるJ―クレジットでは、前述した東証における価格が2025年から急上昇しています。図2に示すように特に省エネクレジットについては、2023年年末時点と比較すると2025年12月時点では3倍以上の価格に上昇しています。

図2, J-クレジット(省エネクレジット)の価格推移
この価格上昇については、様々な機関・企業が分析し、見解を公表しています。これらの情報を収集し、以下に整理しました。結論としては、市場の流動性が限られていることから、適正価格が不透明であることが原因と考えています。
今後の価格予想については、短期的には、需要拡大の一因であるGX-ETSにおける排出枠に関して、12月上中旬に実施予定の経済産業省の経済産業省における排出量取引制度小委員会で上下限価格の具体的な水準について議論予定であることから、その結果の影響が大きいと考えています。
また長期的な価格動向については図3に示す世界銀行が公開しているカーボンプライシングダッシュボードに記載されている各国のETS価格水準が参考になると考えています。

図3.各国のETS価格
価格 |カーボンプライシングダッシュボード
こうした価格の変動は、需要家側にとっては長期的な調達戦略等を考える課題になりますが、創出側にとってはこれまで採算が合わなかった小規模プロジェクト等の拡大にもつながります。J-クレジット制度を活用することで、より脱炭素投資を拡大することにもつながりますので、興味をお持ちの際は是非弊社にお問合せ下さい。

