SBTi Servicesポータル完全ガイド:登録手順・機能・申請フローを徹底解説 詳しくはこちら

移行計画は策定すべきか?必要要素と進め方を整理

  • URLをコピーしました!

移行計画(トランジションプラン/気候移行計画)は、気候変動対応を「施策集」で終わらせず、事業戦略・資本配分・実行管理まで一気通貫で示す経営の設計図です。本記事では、策定すべき企業の条件、必要要素(ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標)、そして開示までの進め方を整理します。

この記事を読んで欲しい人
  • 自社にとって移行計画が「必要かどうか」を、重要性(マテリアリティ)や事業特性から判断したい経営者・経営企画の方
  • 投資家・金融機関・取引先から、目標だけでなく「達成の道筋(目標・行動・資源のつながり)」の説明を求められ始めたIR/財務/サステナビリティ担当者
  • 移行計画を作成するだけで終わらせず、KPIや資本配分と結び付けて実行管理に落とし込みたい事業部門・管理部門のリーダー
  • Scope3の比率が大きく、サプライヤーや顧客への働きかけ(エンゲージメント)まで含めて検討したい担当者
目次

導入

ネットゼロやカーボンニュートラルを掲げる企業は増えました。次に問われるのは、宣言そのものではなく「2030年に向けて、事業と資本配分をどう変えるのか」です。移行計画は、排出削減の工程表であると同時に、低炭素・脱炭素社会への移行と価値創造をどう両立させるかを、意思決定に役立つ形で示すものです。

一方で現場では、「そもそも自社は移行計画を策定すべきなのか」「何を入れれば十分なのか」「どの部署がどう開示まで運ぶのか」が曖昧なまま、検討が止まりがちです。移行計画は、すべての企業が同じ深さ・同じ様式で作るものではありません。重要性(マテリアリティ)に応じて、段階的に充実させながら、事業戦略との関係が読み取れる形に整えることが現実的です。

本コラムでは、移行計画を策定すべき企業の判断軸を整理したうえで、計画に必要な要素(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)と、いつ・誰が・同開示するかという進め方の要点をまとめます。

移行計画を策定すべき企業

結論から言うと、「気候変動が重要(マテリアル)」になりうる企業」は、移行計画を策定するか、少なくとも策定・開示の要否を正式に検討する段階にあります。ここで重要なのは、すべての企業が同じ深さで同じ様式を出すという話ではない点です。開示基準側でも、重要性(マテリアリティ)を前提に、重要でない項目まで一律に開示を求めない考え方が取られています。

では、どんな企業優先度が高いのか。次の順で判断すると整理しやすいでしょう。

第一に、排出量削減にコミットしている企業、または脱炭素政策が強い地域で事業を行う企業です。そうした企業は、達成方法(目標・行動・資源)を説明する必要が高まります。

第二に、設備投資の回収機関が長い、あるいは排出の大きい設備。製品に依存する企業です。将来の規制・需要変化の影響を受けやすく、事業戦略と移行の整合が問われます。

一方で、サービス業などでScope1~3排出が小さく、提供物も気候変動を受けにくい場合、移行計画が「最優先課題とは言い難い」ケースもあり得えます。

また、中堅・中小企業は、負担の大きさから段階的な対応が現実的で、可能な範囲での検討と位置づけが推奨されます。

どのような要素が必要か

移行計画は、①低炭素・脱炭素社会への移行、②事業戦略との整合、③他社への働きかけ、という3つの基本概念で整理できます。ここで言う「他社への働きかけ」には、サプライヤー・顧客へのエンゲージメント、社会側の条件整備への関与なども含みます。

実務に落とすと、必要要素は大きく次の4領域です。(段階的に充実させてよい、という前提も明記されています。)

  • ガバナンス:経営層・取締役会の関与、策定~実行~見直しのサイクル、社内体制(財務部門など他部門連携を含む)、働きかけ対象の決定、評価と見直しの方法。
  • 戦略:想定する将来の低炭素・脱炭素社会の姿(政策やエネルギー構造など)、背景シナリオと主要な過程、参照する事業戦略(中・長期ビジョン)、その前提での企業の将来像(事業分野・製品・収益規模まで可能な限り)、資金調達方法
  • リスクマネジメント:排出状況の把握、計画の前提と現状尾遂行/乖離の把握、事業戦略と移行計画の乖離リスクの評価
  • 指標と目標:Scope1~3目標、主要マイルストーン・中間目標、事業分野ごとの指標・目標、必要な対策・資本配分・時期と期待収益、計画成立に不可欠な依存関係(他律的要因)、とそれを実現する活動。特にScope3比率が大きい企業は、サプライヤーや顧客への働きかけが論点になります。

この設計を貫くコツは、「削減量の正しさ」だけでなく、「前提が崩れた時にどう更新するか」まで含めて、経営の実行管理の形にすることです。移行計画は将来の約束であると同時に、現在の意思決定の設計図だからです。

進め方(いつ、誰が、どう開示するか)

まず「いつ」。開示を始めたばかりの段階では、独立した移行計画文書の必要性は低い一方、開示が充実するほど情報が散らばって一体性が見えにくくなるため、集約して事業戦略との関係を示す移行計画が投資家に有用になる、という整理がされています。

次に「誰が」。移行計画は事業戦略に関わりますので企業にとっては経営企画・IR・財務とサステナビリティ部門の協業が前提になります。さらに、シナリオや技術の知見不足がある場合は、社外取締役や外部有識者の関与、業界・バリューチェーン連携が有効とされています。ウェイストボックスでも気候移行計画策定の支援を行っています。

シナリオ設定・Scope3算定等は特に専門知識も必要になるため是非ご相談ください。

最後に「どう開示するか」。移行計画は必ずしも別冊の数十ページ資料である必要はなく、既存の気候関連開示の中に必要要素が含まれていれば、移行計画として成立し得ます。

先に社内の資本配分・KPI管理として一本のストーリーを作り、外部開示はその要点を投資家が理解できる粒度に整える。最低限の情報からでも、徐々に形を作っていくことで、移行計画を企業価値の説明へとつなげていくことができるでしょう。

ゼロベースから策定を進めるのはなかなかハードルが高く感じられる担当者様も
多くいらっしゃると考えます。

是非弊社ウェイストボックスにお気軽にご相談ください。

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次