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再生可能エネルギーの最新動向、RE100から24_7CFEへ

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本コラムでは、近年大きく変化している再生可能エネルギー調達の評価基準について解説します。CDPやRE100では、単に再エネの使用量を増やすだけでなく、PPAの活用や電源の運転開始年、トレーサビリティといった“質”の高さが重視されるようになっています。また、24/7CFEのように消費と発電を同時に一致させる国際的な潮流や、Scope2改定で検討されている同時性要件の強化など、企業が押さえるべき新たな動きも進んでいます。これらの動向を踏まえ、企業が今後どのような再エネ戦略を取るべきかを考察していきます。

※最終更新日 2025年12月

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目次

CDP評価と再エネ調達の新たな指標

主なポイント(要約/サマリー)

・RE100の要件は、CDPのスコアリング基準にも反映。
・2023年以降CDPの質問では再エネ調達の「量」ではなく、「契約形態」「電源の運転開始年」「トレーサビリティ」といった質の指標が高評価の鍵。
・特にPPAによる直接調達や新設電源からの調達情報開示が、CDPスコア向上に直結。

CDPスコアリングにおける評価項目の変化

CDPは、企業の再生可能エネルギー調達状況を詳細に評価する方向にシフトしています。
 2023年以降のスコアリングでは、以下のような指標が追加され、RE100の技術要件と整合する形で運用されています。

  1. PPA比率(Power Purchase Agreement)
      企業が調達する自然エネルギーのうち、25%以上をオンサイト・フィジカル・バーチャルPPAで調達している場合、高評価とされています。
      PPAは発電設備の新設や拡張につながるため、追加性を最も直接的に担保する手段と見なされています。

  2. 発電設備の運転開始年の把握率
      企業が使用電力のうち、発電設備の「運転開始年」を把握している比率に応じて加点されます。
      25%以上の電源で開始年を把握している場合に評価が上がり、50%以上でさらにスコアが上昇します。

これらの指標は、単なる「購入電力量」ではなく、再エネ調達の実質的な貢献度を可視化するためのものです。
そのため、CDPのスコアを上げるには、証書購入だけでなく、調達形態や契約内容の透明性が欠かせません。

実務上のまとめ

◻︎PPA契約の導入を検討し、契約電力量の25%以上を目標に設定
◻︎電源の運転開始年・電源種別がどこまで把握できているか整理

CDPスコアリング項目とRE100整合性マップ

評価項目RE100基準との関係企業が取るべきアクション
PPA比率(25%以上)追加性の高さを評価長期PPA契約の導入、再エネ新設支援
運転開始年の把握率電源の新しさを評価契約時に発電開始年を確認・報告

再エネ調達の「質」を可視化する新たな評価軸

近年、CDPやRE100をはじめとする各種イニシアティブにおいては、「再エネ導入量」だけではなく、どのような再エネを、どの契約形態で、どの程度の追加性・透明性をもって調達しているかが問われるようになっています。

これは単なる電力量の報告ではなく、再エネ調達を企業の戦略的意思として開示する流れへの転換を意味します。

① 「量」から「質」への評価軸転換

評価項目内容
追加性(Additionality)新たな再エネ電源の創出に貢献しているか新設PPA・自家発電の導入など
同時性(Temporal Matching)発電と消費が時間的に一致しているか24/7CFE対応のオフサイトPPA
地域性(Locational Matching)同一系統または地域内で調達しているか地産地消型電力契約
透明性(Transparency)発電源・証書のトレーサビリティが確保されているか非化石証書+電源情報トラッキング

新たなイニシアティブ「24/7CFE」とは ― 時間単位での再エネマッチング

主なポイント(要約/サマリー)

・24/7CFE(カーボンフリー電力)は、時間単位での再エネ利用を目指す新たな国際潮流。

・2021年に国連主導で発足したこのイニシアティブは、“いつ・どこで・どの電力を使うか”という電力調達の精度を高め、真に脱炭素な電力利用を実現する枠組みとして注目されている。
・企業のエネルギー調達は、単なる「再エネ率の向上」から「同時性・透明性・地域整合性」へと進化を遂げている。

24/7CFEの概要と目的

「24/7CFE(24/7 Carbon-Free Energy)」とは、24時間365日、すべての時間帯で再生可能エネルギーを中心としたカーボンフリー電力を消費することを目指す概念です。
 単に年間消費量を再エネで相殺するのではなく、「消費と供給を時間単位で一致させる(マッチング)」という点が特徴です。 このイニシアティブは、GoogleやMicrosoftなどのグローバル企業が先行して導入を進めており、2025年3月時点で世界170以上の組織が加盟しています。 参加企業には、再エネ供給事業者、投資機関、エネルギーマネジメント企業なども含まれ、「同時性(temporal matching)」と「電力系統の脱炭素化」を両立させる動きが世界的に広がっています。

RE100との違いと相互補完関係

RE100と24/7CFEは、どちらも再エネ調達を推進する国際的枠組みですが、目指すゴールに違いがあります。

比較項目RE10024/7CFE
目的年間100%再エネ調達1時間単位で100%カーボンフリー電力を使用
評価基準年間電力量ベース時間帯ベース(1hごとのマッチング)
重視点追加性・持続可能性同時性・地域性・データトレーサビリティ

RE100が「量的な脱炭素目標」を追求するのに対し、24/7CFEは「質的なエネルギー利用」を目指すものです。
両者は排他的ではなく、RE100を基盤とし、その次のステップとして24/7CFEを導入するのがグローバルな潮流となっています。

実務上のまとめ

◻︎RE100は「調達手段の整備」、24/7CFEは「利用時間の最適化」として段階的導入が望ましい
◻︎同時性を担保するため、時間単位の再エネデータ取得・蓄電池活用が必要
◻︎将来的に、Scope2ガイダンス改定で24/7CFEが要件化される可能性あり

24/7CFE実現に向けた技術と実例

達成に向け、先進的な企業事例を参考にしながら、従来の証書に頼る再エネ導入からRE100における「追加性」や24/7 CFEを推進させる「同時性」を考慮した再エネ導入を段階的に検討することが推奨されます。
具体的には、企業が再エネ発電所と直接契約し、送配電網を通じて物理的に電力を受け取る仕組みであるオフサイトPPA(フィジカルPPA)が注目されています。PPAの契約が結ばれることで新しい再エネ発電所の建設や拡張が可能になり、全体の再エネ導入量が増加する「追加性」のある再エネ導入方法であり、発電事業者と企業が協力して「24/7 CFE」を構築することができる方法の一つです。
 実際に国内でも、太陽光発電と蓄電池を組み合わせたオフサイトPPA(フィジカルPPA)を活用し、「24/7 CFE」の実現に向けた取り組みが行われています。例えば、太陽光発電所の発電状況や建物側のエネルギー使用状況に応じて蓄電池の充放電を制御し、再生可能エネルギーをリアルタイムで利用できる割合を高めるための実証実験が進められています。

実務上のまとめ

◻︎オフサイトPPA+蓄電池モデルを活用し、電力の“時間一致率”をKPI化
◻︎自社拠点のエネルギーデータを1時間単位で記録・報告する体制を構築

日本企業における24/7CFE実装の課題と展望

主なポイント(要約/サマリー)

・日本では24/7CFEに必要な「時間単位の同時マッチング」や「電源トレーサビリティ」の整備は発展途上。
・電力市場・証書制度・技術インフラの三位一体的な更新が求められている。
・企業は政策・制度の変化を先読みした中長期的戦略が必要に。

日本の電力市場と証書制度の現状

日本の再生可能エネルギー市場は、FIT・FIP制度を中心に拡大してきましたが、電力トレーサビリティ(電源追跡性)や時間単位での電力マッチングに対応した仕組みは限定的です。

現在、再エネ調達で主に活用されているのは以下の4種の環境価値証書です。

  • 非化石証書:電源の非化石価値を分離・取引
  • J-クレジット(再エネ):自家消費分の環境価値を認証
  • グリーン電力証書:民間認証機関による環境価値取引
  • I-REC:国際的再エネ証書(海外発行・日本でも発行可)

しかし、これらの証書は主に「年間単位」のマッチングを前提としており、時間帯別のトラッキング情報を含まない点が24/7CFEの要件達成を阻んでいます。対応するには制度設計から変更する必要があります。

具体的には、発電事業者側で発電量の時間別計測・証書化、電力トラッキングシステムの高度化、そして需要家側での消費電力量の高頻度データ連携(スマートメーター活用)など、制度・インフラ両面で大幅な改善が不可欠です。

「同時性」実現に向けた制度的・技術的課題

24/7CFEに必要な「同時性」を実現するには、再エネの発電量・消費量・時刻・地域をリアルタイムで照合するインフラが必要です。

日本ではその実現に向けていくつかの課題があります。

1. 電力トラッキング制度の未整備
再エネ価値の取引は現状、年間単位が中心で、時間別に電源を特定する仕組みが整っていません。精度の高いマッチングが難しい点が大きな課題です。

2. 発電データと需給データの連携不足
同時性を担保するには、発電と消費のデータをリアルタイムで照合する必要があります。しかし、事業者間でデータ基盤が統一されておらず、連携がスムーズに行えません。

3. 再エネ発電所の不足
時間単位で消費と発電を合わせるには、そもそも再エネの供給量が十分であることが前提です。日本は風力など基幹的再エネの導入が遅れており、安定調達が難しい状況です。

4. 蓄電池ルールと技術の未成熟
蓄電池は時間調整の鍵ですが、「どの電源で充電したか」など環境価値の扱いが未整備で、技術導入のインセンティブが高まりにくい現状があります。

5. コストの高さ
24/7CFEに対応する設備、データ管理、PPA契約などは費用負担が大きく、企業にとって導入ハードルとなっています。

24/7CFEに向けた実践モデル ― オフサイトPPAの活用

主なポイント(要約/サマリー)

・24/7CFE(24時間365日カーボンフリー電力)を実現には、電力消費の時間単位で再エネをマッチングする「同時性」が重要
・その中核となる仕組みが、発電事業者と需要家が直接契約を結ぶ オフサイトPPA(フィジカルPPA) となる。

オフサイトPPA(フィジカル)とは何か

オフサイトPPA(Physical Power Purchase Agreement)は、発電事業者と需要家が長期契約を結び、系統を通じて物理的に再生可能エネルギーを受電する仕組みです。フィジカルPPAとはオフサイトPPAに分類される、需要家が電力と環境価値をセットで買う形態のことを指します。発電事業者にとっては固定価格買取制度(FIT)に代わる新たな収益源になり、企業にとっては追加性のある自然エネルギーの電力を長期的に確保できるという利点があります。
今後さらに世界各国で脱炭素の取り組みが広がっていくと、化石燃料のうち低価格でCO₂排出量の多い石炭から、高価格でCO₂排出量の少ない天然ガスへ移行が進みます。長期的に見て火力発電の燃料費が大幅に低下することは期待しにくい状況です。
このように将来の化石燃料の輸入価格が見通せない状況にあって、フィジカルPPAで長期の電力コストを固定できれば、企業や自治体にとって経費の安定性につながります。
自然エネルギーの電力を利用して、CO₂排出量を削減する効果に加えて、経済性の点でもフィジカルPPAのメリットが大きくなるため、フィジカルPPAを採用する企業が相次いでいます。

電力と環境価値を一体で調達できる点が特徴で、「追加性」と「同時性」 の両方を満たし得る最も有効な手段の一つとされています。発電事業者は需要家との契約に基づき、PPA専用の再エネ発電所を新設・拡張します。 これにより、契約企業は実質的に新しい再エネ供給を社会にもたらすことになり、RE100達成、CDPで高評価を得やすくなります。

出典:企業・自治体向け 電力調達ガイドブック(自然エネルギー財団)RE_Procurement_Guidebook_JP_2025.pdf

オフサイトPPAのメリット

  1. 追加性(Additionality)を実現できる
     新設または拡張プロジェクトを契約対象とすることで、社会全体の再エネ比率拡大に寄与。
  2. 価格安定・長期コスト回避
     10〜20年単位の契約で電力単価を固定でき、燃料価格変動の影響を受けにくい。
  3. トレーサビリティ・同時性の確保
     発電・消費データを時間単位で管理することで、24/7CFE対応の電力証明に活用できる。
  4. 企業ブランド価値・ESG評価の向上
     RE100・CDP・SBTiなど国際的イニシアティブにおける高スコア要素として機能する。

導入ステップ ― 実務的な流れ

企業がオフサイトPPAを導入するまでの主なステップを紹介します。

  1. 社内検討(環境価値の評価)
    自社のエネルギー使用量・電気料金・脱炭素方針等を把握し、再生可能エネルギーの利用が持続可能性に寄与するかどうかを判断します。具体的には、年間の電力消費量とピーク需要の確認、長期的な脱炭素ロードマップの作製、コスト削減効果とリスクの試算などを行います。また、社内の異なる部署を巻き込んだ合意形成が不可欠です。

  2. 方式比較
    社内検討をもとにオンサイトPPA、オフサイトPPAいずれの方式を導入するのかを決定します。

  3. 事業者選定
    RFP配布→質疑→見積を行い、会社の基準に合わせてどの事業者と契約するのかを決定します。

  4. 契約の交渉・締結
    発電事業者と長期契約を結びます。契約期間や価格設定、供給条件などを詳細に確認します。契約期間は通常10年から20年です。交渉においては、リスクを企業側と発電事業者でどう分担するのかを決めることが最も重要です。

  5. 運用・年次見直し
    KPI(総額差、CO₂削減量、電気代の分散等)を年次評価します。市場や制度の更新、温暖化関連の要件変更に応じて契約内容の見直しを検討します。

今後の展望 ― Scope2改定とスマートグリッド時代の到来

主なポイント(要約/サマリー)

・再生可能エネルギーの導入が進む中、次に問われるのは「どの時間・どの場所で再エネを使っているか」という電力利用の透明性
・2026年に予定されているGHGプロトコルScope2ガイダンス改定では、「同時性」要件の強化が焦点に。
・スマートグリッドやブロックチェーン技術が、次のエネルギーマネジメントを支える基盤として急速に発展。

GHGプロトコルScope2改定の動向

現在検討されている GHGプロトコル・Scope 2ガイダンス改訂案 では、マーケットベース手法の品質要件を強化し、再エネ調達に 「同時同量(hourly matching)」 を求める方向が示されています。

■ 同時同量とは

企業が消費する電力と、その電力に対応する再エネが 同じ時間帯(1時間単位)で発電されていることを示す 仕組みです。
この要件が導入されると、夜間の電力消費を太陽光の証書で補うといった従来の手法は認められなくなる可能性があります。

■ 再エネ調達はどう変わるのか

  • 非化石証書は「発電時刻」と「消費時刻」が一致している必要があります。
  • 再エネメニューも、消費した時間帯に発電された再エネでなければ「クリーン電力」として扱われない可能性があります。

■ 段階的な適用が想定されています

実務負担に配慮し、改訂案では次のような移行措置が検討されています。

  • 電力消費の大きい企業から段階的に適用すること
  • 小規模事業者には免除や猶予を設けること
  • 時間別データが整わない国では、推計値や月次ベースの暫定対応を認めること
主な改定論点

同時性の明確化:24時間ベースのマッチング基準を導入し、「年間バランス」からの脱却。
電力証書の時刻情報付与:EAC(Energy Attribute Certificate)に「発電日・時間帯」情報を義務化する方向。
データ基盤整備:スマートメータやIoTデータとの連携強化を想定。

この動きは、RE100や24/7CFEといった国際イニシアティブとの整合性を高めるものであり、企業は中長期的に「時間分解型の排出算定」を見据えた準備が必要です。

スマートグリッド技術と「同時性」要件の将来

スマートグリッドとは、ICT・IoT技術を活用して電力の需給をリアルタイムで最適化する電力網のことです。この仕組みが、今後の「同時性」要件の実現を根本的に支える技術基盤となります。

特に注目すべきは以下の3点です。

  1. 時間帯別データ連携
     スマートメータを通じ、発電と消費のデータを1時間単位で取得可能に。企業単位で「リアルタイム再エネ率」を可視化できるようになる。
  2. 分散型電源との統合制御
     太陽光、風力、蓄電池、EVなどの分散電源をAI制御で統合。再エネの需給バランスを最適化。
  3. ブロックチェーンによる電力証書のトレーサビリティ
     発電証明・取引・償却の履歴をブロックチェーン上で管理することで、再エネ利用の信頼性を担保。

このような技術革新は、単に電力供給の効率化にとどまらず、「いつ・どこで・誰が再エネを使ったか」という時間的・空間的な透明性を企業にもたらします。

実務チェックリスト

電力使用量・契約電源の現状を正確に把握している
 再エネ調達時には追加性の高い手段から導入を検討している(自家発自家消費>PPA>小売契約>証書購入など)
契約内容に付随する証書種別(非化石証書、J-クレジット等)を理解している
社内のESG推進・経理・調達部門で共通理解を持てている
外部開示(統合報告書・CDP回答)で再エネ調達の根拠を提示できる

よくある質問

Q1. Scope2改定はいつ施行される予定ですか?

A. 現時点では2026年に第二回協議を経て、2027年に最終版が公表される予定です。
現行のScope 2ガイダンスは 2015年版 で、今回が約10年ぶりの大きな改訂となります。

Q2. 時間マッチングに対応していない企業は不利になりますか?

A. すぐに義務化されるわけではありませんが、「再エネ利用の質(同時性・トレーサビリティ)」が求められる可能性が高いため、対応するための情報収集を進めていただくことを推奨いたします。

Q3. 非化石証書だけで24/7CFEを実現できますか?

A. 現行制度では、発電時刻情報が欠落しているため「時間単位のマッチング」は困難です。
またScope2改定で提案されているSSSを踏まえると非化石証書のみに頼る調達計画は危ぶまれる可能もございます。

まとめ

24/CFEの動向やScope2改定案を踏まえると「排出削減」だけではなく「利用の透明化」が求められていく転換点にあるように感じます。今後のこれらの動向を注視しつつ、必要に応じて再エネ導入計画を見直す必要が生じる企業も出てくると考えられます。
引き続き、再エネ導入に関する要求事項の強化や、24/7 CFE実現に向けたスマートグリッド技術の進展、さらには国内における証書制度の改定など、制度的な動向にも注目していきたいと考えています。


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