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脱炭素はなぜ必要なのか。 地球温暖化の正体とは。

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「地球が温暖化しているから二酸化炭素の排出を減らさなければいけない」というのは、今や常識として語られています。ですが、翻って、なぜ地球が温暖化しているのか、なぜ二酸化炭素の排出を減らさなければいけないのかまでは、普段あまり意識されていない現状があります。このコラムでは、それらの疑問について科学的根拠を交えご案内します。

※本記事は、環境コンサルティング専門のウェイストボックスが、最新の情報をもとに実務的な観点で整理しています。

※この記事の監修者:株式会社ウェイストボックス 環境ソリューション第2事業部 市川
環境省認定制度 脱炭素アドバイザー アドバンスト
※最終更新日 2025年12月

この記事を読んで欲しい人

・「どうして脱炭素に取り組まなければいけないのか?」という問いに科学的根拠にもとづいた回答をしたい方
・脱炭素の取り組みが本当に意味のあることなのか、疑問や不安を感じている方
・好奇心が高い方、脱炭素について語りたい方

ウェイストボックスでは、展示会や地域の環境関連のイベントへの参加を積極的に実施しており、私自身も、出展者として各種イベントに参加しています。ご来場された方々とお話する中で、「地球が温暖化しているから二酸化炭素の排出を減らさなければいけない」ことは、小さいお子さんから年配の方までほぼすべての方がご存じであり、さらに「二酸化炭素以外にも、温室効果を持つものがありそれも影響しているようだ」というところも、多くの方が認識されていることを感じます。

そんな、今や常識として語られている「地球温暖化」ですが、その元となる「なぜ地球が温暖化しているの?」「なぜ二酸化炭素の排出を減らさなければいけないの?」について掘り下げる機会は、それほど多くありません。知らなくても脱炭素の取り組みは進められますが、知っていた方が断然楽しく脱炭素に取り組めると信じて、本記事ではそこを深掘りしてご案内したいと思います。

目次

「なぜ地球は温暖化しているのか?」そもそも”温室効果”って何??

「なぜ地球は温暖化しているのか?」に対する端的な回答は「大気中に温室効果ガスが増えたから」です。

はじめに、「温室効果って何?」「温室と温室効果って同じなの?」「温室効果ガスって何?」というところから掘り下げていきたいと思います。

主なポイント(要約/サマリー)

温暖化の原因である温室効果は気体分子による赤外線吸収および再放射
・温室効果温室のメカニズムは異なる

温室効果とは

地球の表面は、太陽から届く光エネルギーによってあたためられます。太陽光は主に可視光や一部の紫外線で構成されており、これらは大気をほぼ透過して地表に到達します。地表はこのエネルギーを吸収し、温度が上昇します。しかし、地表はあたためられたままではなく、吸収したエネルギーを赤外線(熱放射)として大気に向けて放出し、冷えようとする性質を持っています。これが地球のエネルギー バランスの基本です。

ところが、地表から放出された赤外線のすべてが大気から宇宙に逃げるわけではありません。大気中には「温室効果ガス」と呼ばれる気体の分子が存在し、これらは赤外線を吸収する性質を持っています。二酸化炭素(CO₂)、メタン(CH₄)、水蒸気(H₂O)などが代表的な温室効果ガスです。これらの分子は赤外線を吸収した後、再び赤外線を放出します。この再放出された赤外線の一部は地表に戻り、再び地表をあたためます。温室効果ガスが増えるほど、この「戻ってくる赤外線」の量が増え、結果として地表はよりあたたまりやすくなります。これが「温室効果」です。

バーをスライドさせてボールを跳ね返し、上空のブロックを崩していくゲームで遊んだことがありますが、ボールを赤外線、ブロックを温室効果ガスと考えてみると、ブロックが増えるほど、ボールが跳ね返って下に戻ってくる確率が高まります。つまり、温室効果ガスが増えると、赤外線が地表に戻る回数が増え、地表があたたまりやすくなります。ただし、ゲームと違って、温室効果ガスは赤外線を受けても壊れることはありません。むしろ、何度でも赤外線を吸収し、再放出することができます。

人間の産業活動やエネルギー消費によって二酸化炭素などの温室効果ガスの排出が増えると、地球のエネルギーバランスが崩れ、平均気温が上昇します。このしくみが温室効果であり、地球温暖化の根本的な原因です。

温室と温室効果って同じなの?

ところで、「温室」と聞くとまず思い浮かべるのはいわゆる「ビニールハウス」だと思います。イチゴ狩りや農作業で見かける、畑を覆う透明なビニールです。このため「温室効果」という言葉を聞いたときに、「温室も赤外線を吸収して中をあたためているの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。

実際の温室は、太陽光を透過させて内部をあたため、そのあたたかい空気を外に逃がさないことで温度を保つしくみです。つまり、温室の原理は「空気の閉じ込め」による保温であり、赤外線の吸収・放出が主な要因ではありません。一方で、「温室効果」は、大気中の温室効果ガスが赤外線を吸収し、再び放出することで地表をあたためる現象です。結果としてどちらも「あたたかくなる」という点は共通していますが、メカニズムはまったく異なります。

現在では「温室効果」という言葉は広く定着していますが、二酸化炭素が大気中に1%にも満たない濃度で存在しながら、まるで温室のように膜を張って地球をあたためているというイメージは、直感的に信じがたいと感じる方もいるかもしれません。実際には、膜を張るようにあたためているわけではありません。そのため、混同されやすい「温室効果」という名前が理解を妨げたり、こうした直感的な違和感が温暖化懐疑論につながっている可能性もあります。「温室効果」ではなく「赤外線吸収・放出効果」という名称であれば、誤解を防げるのではないかとも思います(親しみやすさは失われますが…)。

温室効果を持つ気体とは何か?

ここまでで、「なぜ地球は温暖化しているのか?」という問いに対する答えが「大気中に赤外線を吸収して放出する性質(温室効果)を持つガスが増えたから」と少し具体的になりました。「温室効果を持つ気体(ガス)とはいったい何なのか?」次にここを掘り下げていきたいと思います。

主なポイント(要約/サマリー)

・温室効果は異なる原子が結合したときの電荷の偏りにより発生する
・大気の99%以上は温室効果を持たない単一元素による気体で構成されており、温室効果ガスの割合はごくわずか
・温室効果ガスのわずかな割合の変化は気温に大きな影響を与える

温室効果を持つ気体と温室効果を持たない気体の違い

一般的によく知られている気体には、二酸化炭素以外に、窒素、酸素、水素などがあります。また、地球温暖化の分野では、メタンや一酸化二窒素といった気体も登場します。これらの気体は、赤外線を吸収・再放射する能力・性質を持つ気体と、持たない気体に分けられ、その性質を持つ気体のことを「温室効果ガス」と呼んでいます。

☑️温室効果を持つ気体の特徴

・赤外線を吸収できる分子構造を持っている。
・分子が振動や回転モードを持ち、赤外線の波長に共鳴する。

代表例:
 
二酸化炭素(CO2)
 メタン(CH4)
 一酸化二窒素(N2O)
 水蒸気(H2O)

温室効果を持たない気体の特徴

・赤外線をほとんど吸収しない。
・分子構造が単純で赤外線に対応する振動モードがない。

代表例:
 
窒素(N2)
 酸素(O2)
 アルゴン(Ar)

分子構造と温室効果

「分子構造」や「回転モード」というと一気に専門的な印象になりますが、温室効果を持つ気体と持たない気体の化学式を見比べると、違いが見えてきます。温室効果を持たない気体は単一の元素で構成されており、温室効果を持つ気体は複数の元素で構成されています。

分子構造とは、原子どうしが結合している様子を示すもので、一般的に原子どうしが手をつないでいたり、球と棒の模型となっていたりして、表現されているものです。異なる原子が手をつなぐと、組み合わせや手のつなぎ方により電荷の偏り(非対称性)が発生します。この偏りによって分子は振動や回転のモードを持ち、専門的には「双極子モーメントの変化による分子振動」と呼ばれる振動が発生します。この振動により、分子は赤外線を吸収したり、放射したりといった働きをします。赤外線は波として伝わるため、分子振動により波の強さや方向に影響するしくみです。

一方で、単一元素で構成された気体分子には、電荷の偏りが発生しません。そのため、振動モードや回転モードが発生せず、赤外線を吸収できないため温室効果を持ちません。ただし、複数元素で構成されている気体でも、温室効果をほとんど持たない気体もあります。例として、一酸化炭素(CO)や、一酸化窒素(NO)がそれにあたります。これらは振動モードを持っていますが、赤外線の波長と分子の振動がうまく一致しないため赤外線を吸収する働きが弱く、また大気中の濃度が非常に低いため、温室効果は無視できるとされています。

温室効果ガスの存在と気温の関係

大気の主成分は、窒素が約78%、酸素が約21%、アルゴンが約0.9%、二酸化炭素が約0.04%、さらに微量の水蒸気や希ガスとなっています。構成を見ると、成分のほとんどが窒素や酸素、アルゴンといった単一元素で構成された「温室効果を持たない気体」で占められていることが分かります。一方、二酸化炭素の割合は非常にわずかですが、このわずかな存在が地球の気温を左右する重要な役割を担っています。

現在、地球の平均気温は約15度とされていますが、もし温室効果がまったく存在しなければ、地表の平均気温は約マイナス19度になると推測されています。これは、現在の気温と比べると30度以上も低い値であり、この温度差がごくわずかな温室効果ガスの存在によってもたらされると言えます。私たちが生活しやすい温暖な気温は、このような繊細なバランスの上で成り立っています。だからこそ、二酸化炭素の濃度がほんの少し増えるだけで、地球の気温に大きな影響が及びます。

実際に、産業革命以降、人間活動によって二酸化炭素濃度は約280ppmから現在の430ppm近くまで増加しました。これは、割合にすると約0.028%から約0.043%への変化であり、数字だけを見るとごくわずかな差にも思えます。しかし、この小さな変化が、地球規模の気候変動を引き起こす原因となっており、平均気温の上昇をもたらしています。

こうした背景を知ると、なぜ脱炭素が必要なのか、その理由がより鮮明にイメージできるのではないでしょうか。私たちが享受している快適な気候は、微妙な調整の結果であり、そのバランスを崩さないために、どのような選択をするかが、未来のためにいかに重要であるかを認識できます。

二酸化炭素以外の気体の温室効果

二酸化炭素以外の気体の持つ温室効果について、それぞれの特性を捉えてご案内します。

主なポイント(要約/サマリー)

・水蒸気には温室効果があり、大気温への寄与は二酸化炭素より大きい
・水蒸気量のコントロールによる温暖化対策は不可能
・二酸化炭素は大気中で分解されないため、排出を減らしても濃度が減らない
・これまで増やした人為的排出を削減するには、排出量ゼロを超えたカーボンマイナスが必要

水蒸気が持つ温室効果

「温室効果を持つ気体」の代表例の中に水蒸気が含まれていることに、「あれ?水蒸気も?」と気になった方や、どこかで水蒸気にも温室効果があるということを耳にしたことのある方もいらっしゃるかと思います。先ほど示した通り、水蒸気には赤外線を吸収・放出する性質があり、その吸収力は二酸化炭素よりも大きいとされています。

赤外線の吸収力とひと口に言っても、それぞれの気体により吸収する赤外線の波長が異なるため、単純な比較は難しいところですが、吸収する波長や吸収力を総合的に評価した大気に与える「温室効果の強さ」では、水蒸気が約48%、二酸化炭素が約21%とされており、水蒸気は二酸化炭素の2倍以上の寄与度を持つ最大の要因と想定されています。

「脱水蒸気」で気温を下げることはできるのか

大気中に存在する水蒸気は、二酸化炭素以上に地球をあたためていることは確実であり、理論的に考えれば、「大気中の水蒸気を減らせば、二酸化炭素を減らさなくても地表の温度を下げられる」という発想となります。しかし、現実には「脱炭素!」をしている人はいても「脱水蒸気!」を掲げる人がいないのは、実現が不可能だからです。

なぜ不可能なのか。それは水蒸気の量が気温と密接に関係しているためです。気温が上がると水の蒸発量が増え、空気中の水蒸気が増えます。逆に気温が下がると水蒸気は減ります。このしくみは、中学校の理科で学ぶ「飽和水蒸気量」という概念に関連しています。つまり、大気中の水蒸気を減らすためには気温を下げる必要がありますが、気温を下げるために人為的に水蒸気を減らすことはできません。仮に一時的に身近な水蒸気を減らせたとしても、海からの蒸発をコントロールできない以上、根本的な解決にはなりません。

こうした理由から、水蒸気は温室効果を持ち、大気温に対する寄与度は非常に大きいものの、削減対象としての「温室効果ガス」には含まれていません。水蒸気は気候システムの中で自然に増減する要素であり、人間が直接コントロールできるものではありません。だからこそ、私たちが取り組むべきは、二酸化炭素やメタンなどの排出量を人為的に調整できる温室効果ガスとなります。

二酸化炭素以外の温室効果ガスとGWP

次に、二酸化炭素や水蒸気以外の「温室効果ガス」について触れていきます。代表的なものとして「メタン」と「一酸化二窒素」があります。これらは、「H3-2:分子構造と温室効果」で示した、複数の元素からなる分子構造を持ち、赤外線を吸収・再放出する性質を備えた温室効果ガスです。

それぞれの気体の温室効果を評価する際に使われる指標に「GWP(地球温暖化係数)」があります。GWPは「そのガスが地球温暖化に与える影響を、同じ質量の二酸化炭素と比較して数値化したもの」であり、時間軸を加味した複合指標です。そのため、GWPには気体の「赤外線吸収能力」だけでなく「大気中での寿命」も考慮されています。

以下に、温室効果ガスの大気濃度、大気寿命、100年GWPを示します。

気体(化学式)大気濃度大気寿命100年GWP
二酸化炭素(CO2)413,000ppb(413ppm)1
メタン(CH4)1,890ppb12年30
一酸化二窒素(N2O)333ppb109年273

大気寿命から比較する温室効果ガス

大気寿命について、メタンは主に対流圏(高度10km以下の大気下層)での化学反応により約12年で分解され消滅します。同様に、一酸化二窒素は成層圏(対流圏の下層)での光化学反応により約109年で分解され消滅します。

一方、二酸化炭素には明確な大気寿命が設定されていません。これは、二酸化炭素が非常に長寿命であり、数百年にわたり大気中に残り続けることを意味します。つまり、私たちがひとたび大気中に放出した二酸化炭素は、空を見上げてさよならしても消えてはいかず、私たちがよく知っている、地表での自然科学的な二酸化炭素吸収源(森林や海洋による吸収)、または人為的な除去が行われない限り、分解されずに存在し続けます。

このため、脱炭素の取り組みでは「ネットゼロ」を超えて、マイナスまでしなければいけないということが徐々に言われるようになってきていますが、その背景には、二酸化炭素が大気中で分解されないという特性もあると考えられます。

一方、メタンや一酸化二窒素は寿命があるにもかかわらず、高いGWP値が設定されています。これは、それらの気体が二酸化炭素よりはるかに強い赤外線吸収力を持つためです。特にメタンは比較的短命ですが、瞬間的な赤外線吸収効果は二酸化炭素の約80倍とされます。一酸化二窒素は寿命が長く、瞬間的な吸収力も二酸化炭素の約200倍以上です。二酸化炭素は温室効果ガスの代表のように言われていますが、赤外線吸収力に関しては比較的小さい気体と言えます。

こうした特性を踏まえると、メタンは今ある人為的排出を止めれば十数年後には濃度は十分に下がる可能性が考えられます。しかし、二酸化炭素や一酸化二窒素は今ある人為的排出を止めても濃度が下がるわけではなく、増加が止まるだけです。人類がこれまで行ってきた排出を償う勢いで削減を行うには、排出削減を行うだけでは足りず、マイナスをするための手段を考える必要があります。

脱炭素の必要性と課題に取り組む意味

ここまで、なぜ脱炭素が必要なのか、そして本当に脱炭素を進めなければ温暖化(気温上昇)を止められないのかについて記載してきました。二酸化炭素排出を減らす必要性について、少しでも身近に感じていただけたならうれしく思います。

私自身、知れば知るほど、私たちが直面している「気候変動」という問題が、どれほど深刻で複雑なものであるかを痛感します。そして、その解決に向けた道のりがいかに困難であるかを知るたびに、正直なところ絶望的な気持ちになることもあります。科学的なデータや報告書を目にするたびに、問題の規模と深刻さに圧倒されることも少なくありません。

それでも同時に、知れば知るほど、この問題に取り組んでいる仲間は世界中に存在し、ひとりひとりがそれぞれの立場でできることを模索し、行動を起こしていることも感じることができます。日々、お客様の脱炭素への取り組みに伴走する業務の中で、そうした取り組みに一緒に関わり、それを実感できることは、大きな希望であり、喜びでもあります。

最後に『気候変動と社会』という本の末尾に記載されていた、とても印象的な言葉をご紹介したいと思います。

「人類が現在直面する最大の課題の1つである気候変動問題に対して、世界中の専門家と議論したり協力したりしながら、自分自身も1人の専門家として関与することは、あなたの人生をこの上なくエキサイティングで充実したものにするだろう。」

この言葉は、私自身が日々の業務でお客様の脱炭素への取り組みに伴走する中で、折に触れて実感するものです。気候変動対策は、私たちひとりひとりの未来を形づくる重要な役割を担っています。だからこそ、ひとりひとりが知識を深め、お互いの立場を尊重しながら行動を積み重ねることが、希望につながることを信じています。

【このトピックに関連するサービス】

・環境分野全般のアドバイザリーサービス

出典

『地球の未来のために僕が決断したこと 気候大災害は防げる』ビル・ゲイツ著
『ココが知りたい 地球温暖化』国立環境研究所 地球システム領域 編
『脱炭素の論点』共生エネルギー社会実装研究所 編
『気候変動と社会』東京大学 気候と社会連携研究機構 編


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