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日本と世界の温室効果ガス排出量と削減目標「エネルギー白書2025」

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エネルギー白書2025をもとに、日本と世界の温室効果ガス排出量と削減目標(NDC)の要点を整理。排出トレンドの見方と、日本の目標達成に向けて企業が押さえるべきポイントを解説します。

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この記事を読んで欲しい人
  • 自社の脱炭素戦略を「世界の流れ」と「日本の目標」の両方から捉え直したい経営層・経営企画の方
  • 排出量(scope1-3)や電力調達方針を、政策・エネルギー動向と整合させたいサステナビリティ担当者
  • 取引先要請や規制の背景として、NDC(削減目標)の読み方を押さえたい事業部・調達部門の方
目次

導入

温室効果ガス(GHG)の排出量と削減目標は、いまや環境担当だけの論点ではなく、エネルギーコスト、供給安定、投資判断まで巻き込む経営課題です。エネルギー白書2025は、その前提となる「世界の排出の現状」と「各国の削減目標」を、同じルールで見比べられる形で整理しています。たとえば白書では、世界全体のGHG排出量が増加傾向にあり、2023年は前年比約1.3%増で過去最高水準になったと紹介しています。


本稿では、①世界の大枠、②日本の現状と目標、③目標達成の要点、の順に押さえます。数字を並べるだけでなく、「どこがレバー(効きどころ)になるか」を読み解くことを狙います。

世界の温室効果ガス排出量と削減目標

世界全体の温室効果ガス(GHG)排出量は増加傾向が続いており、エネルギー白書2025の解説では、2023年は前年比約1.3%増で過去最高水準になったと示されています。

一方で各国は、パリ協定の「1.5℃目標」に向けて排出削減目標(NDC等)を掲げています。ただし、削減率は基準年(1990年、2005年など)や対象範囲が異なるため、数字だけを単純比較するのは危険です。白書側も、LULUCFの扱いや基準年の合わせ方など、一定のルールで算出していると明記しています。

具体例として白書解説では、主要国・地域の目標が整理されています。例えば、米国は2035年に2005年比で61~66%削減を掲げた(※記事では「前バイデン政権」として整理)とされ、EUは2030年に1990年比で少なくとも55%削減、英国は2030年に2018年比で40%削減、韓国は2035年に1990年比で少なくとも81%削減といった目標が紹介されています。
要するに、世界は「排出はまだ高止まり・増加の局面」なのに対し、「削減目標は引き上げ方向」で、ギャップを埋める実装力が問われている、というのが大枠の見取り図です。

日本の排出量と削減目標

日本の排出の特徴

エネルギー白書2025の比較では、日本のGHG排出量は減少傾向にあり、2023年度の削減実績は2013年度比で約24%と整理されています。排出量が多いのはエネルギー転換部門と製造・建設部門で、両部門を合わせると全体の約6割を占めます。また、日本の最終エネルギー消費のうち約3割は電力であり、電力部門の非化石電源比率は2023年度時点で31%まで上昇しています。
つまり日本の排出構造は、産業部門とエネルギー供給側の変化が全体を大きく左右する形です。

この構造は企業実務にも直結します。製造業だけでなく、オフィス主体の企業でも、Scope 2の改善余地は電力調達と電源構成に大きく依存します。また、調達・物流・原材料まで含めて考えると、Scope 3の見直しも不可欠です。日本全体の排出を読むときに「自社は工場を持たないから関係が薄い」と考えるのは早計で、電力、調達、委託、物流という形で多くの企業がエネルギーシステム全体の変化の影響を受けます。これは白書がエネルギー転換部門と非化石電源比率を重視している点とも整合します。

日本の削減目標の要点

日本は、2025年2月18日に新たなNDCを提出し、2035年度に2013年度比60%削減、2040年度に73%削減を目指すとしました。加えて、2030年度については2013年度比46%削減を目指し、さらに50%の高みに向けて挑戦を続ける方針を維持しています。これらは2050年ネット・ゼロに向けた直線的な経路として位置付けられています。

白書では、この目標達成に向けて、2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画に基づき、省エネルギーや非化石転換を促進するとともに、脱炭素電源の拡大や系統整備を進める方針が示されています。要するに、日本のNDCは単なる排出目標ではなく、エネルギー需要側の効率化、電源側の脱炭素化、そしてそれを支えるインフラ整備まで含んだ政策パッケージとして読む必要があります。

企業にとって重要なのは、NDCを「国の話」として切り離さないことです。設備更新、再エネ調達、需要管理、サプライヤーとの連携は、すべて目標達成の実装面に属します。特に電力起点での削減余地が大きい企業ほど、調達契約、オンサイト導入、非化石証書活用などを戦略的に組み合わせる必要があります。これは政策の方向性という事実に基づく実務上の示唆です。

エネルギー白書2025の示唆:目標達成のポイント

エネルギー白書2025から読み取れる示唆は、単に「もっと削減が必要」という一般論ではありません。
第一に、排出削減は省エネだけでは足りず、電源の脱炭素化とセットで進める必要があるということです。白書は、日本でも非化石電源比率が上昇している一方、今後さらに省エネ、非化石転換、脱炭素電源拡大、系統整備を進める必要があると示しています。企業側では、使用量削減だけでなく、どの電力をどう調達するかまで含めて考える必要があります。

第二に、目標の読み方と自社戦略の接続が重要です。世界のNDCは基準年や制度前提が異なるため、数字の大小だけを見ても実務にはつながりません。むしろ企業は、自社の主要排出源が何か、削減レバーが設備・電力・調達・物流のどこにあるかを整理し、そのうえで日本の政策やエネルギー構造の変化と整合させることが重要です。これは、白書が各国比較で排出削減率だけでなく、最終エネルギー消費量削減率や非化石電源比率を並べている理由でもあります。

第三に、Scope 3と調達戦略の重要性が増すという点です。NDC自体は国全体の目標ですが、企業レベルでは、原材料、委託加工、物流、販売後使用などのサプライチェーン排出が削減余地の中心になるケースが多くあります。エネルギーコストや供給安定の観点からも、サプライヤーにどのようなエネルギー転換を求めるかは経営課題です。

第四に、企業の開示は“過去の排出量報告”から“移行戦略の説明”へ重心が移ると見るべきです。排出量を把握するだけでなく、どの前提で、どの期間で、どの手段により目標達成へ近づくのかが問われます。特に経営層・経営企画にとっては、脱炭素をコスト負担としてだけでなく、電力調達、設備投資、サプライチェーン強靭化、資本市場対応を束ねるテーマとして扱うことが重要です。

参考文献

世界の温室効果ガス排出量と削減目標の「今」を知ろう――「エネルギー白書2025」から(前編)|エネこれ|資源エネルギー庁

エネルギー白書2025全体版(資源エネルギー庁)whitepaper2025_all.pdf

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