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インターナルカーボンプライシング(ICP)とは?導入目的・設定方法・企業事例まで実務で使える基礎知識を解説

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インターナルカーボンプライシング(ICP)の基本、導入目的、価格設定方法、活用プロセス、国内外の導入事例まで体系的に整理。実務担当者向けに、企業の脱炭素投資判断にICPがどう活かされるかを具体的に解説します。

※本記事は、環境コンサルティング専門のWaste Boxが、最新の気候関連開示・企業動向をもとに実務的な観点で整理しています。

最終更新日:2025年12月30日
監修:株式会社Waste Box 小澤
(GHG排出量算定、SBT認定、CDP回答支援)

この記事を読んで欲しい人

本記事は、企業の脱炭素経営・気候関連開示に関わる部門の実務担当者を対象としています。特に以下のような方に有益な内容です。

・CDP質問書への回答をアップデートしたい担当者
・ICPの導入・運用を検討している企業の担当者
・SBT・RE100・カーボンニュートラル目標に向けた投資基準を整備したい方
・再エネ導入、省エネ投資の意思決定を強化したい企業

企業の脱炭素経営が加速する中で、投資判断に「CO₂排出量の価格」を組み込む仕組みとして注目されているのが インターナルカーボンプライシング(ICP) です。ICPは企業が自ら設定する炭素価格であり、脱炭素投資の意思決定、将来の炭素コストの見える化、気候関連リスクの定量化といった多様な目的に活用されます。

SBT・TCFD・CDP・ISSBといった国際的なイニシアチブでも導入が推奨されており、日本企業でも導入が急速に進んでいます。本記事では、ICPの基本概念から、導入目的、価格設定方法、企業の活用事例、そして導入プロセスの全体像まで、実務担当者が押さえるべきポイントを体系的に解説します。

目次

ICPの基礎

本稿では、企業の脱炭素経営に欠かせない「インターナルカーボンプライシング(ICP)」について、基本概念から導入目的、価格設定の方法、企業の活用事例、導入プロセスまで全体像を体系的に解説します。まず「ICPとは何か」を整理し、どのように企業内部で炭素価格を設定し、投資判断や気候関連リスクの管理に活用されるのかを明らかにします。

インターナルカーボンプライシング(ICP)とは脱炭素経営の推進に向け、企業内部で独自に設定、使用する炭素価格のことです。気候変動関連目標(カーボンニュートラル/SBT/RE100)に紐づく企業の計画策定に用いる手段であり、脱炭素推進へのインセンティブ、収益機会とリスクの特定あるいは投資意思決定の指針等として活用されます。ICPの大きな特徴として、世の中の動向や自社の脱炭素の施策のスピードに合わせて柔軟に炭素価格を操作することができることが挙げられます。脱炭素の動きが弱まっている場合には、ICPの価格を下げ、脱炭素対応の活動は様子見の状態にし、脱炭素の動きが強まっている場合には、ICPの価格を上げ、気候変動経営を推進していくといったことです。このように価格の上げ下げが柔軟に可能なため、脱炭素の活動を決めたらやるしかない、やめられないといった企業の意思決定リスクを回避することができます。

ICP導入の目的・メリット

ICP(インターナルカーボンプライシング)を導入する企業の目的、導入したことによって得られる内部外部のメリットを紹介します。

導入の目的

ICPの導入に当たっては、まず、「脱炭素投資の目的」を明確にすることが重要になります。また、ICP導入の目的は各企業によって異なるため、価格設定や活用方法を検討する前に、目的を整理する必要があります。この目的は大きく「取り組みの要因(内的要因、外的要因)」と「投資行動の緊急度」の2軸で分類できます。

以下では、それぞれの象限における代表的な企業の動機を示します。

ICP_katsuyou_guideline.pdf別紙2-6

  1. 内的要因×投資行動の緊急度:高
    →脱炭素目標の達成(SBT,RE100,環境ビジョンなど)
    ・脱炭素投資を積極的に進めたい企業
    ・具体的な推進の前段階としてICPの社内段階を促進し、脱炭素に対する意識醸成をしたい企業

  2. 外的要因×投資行動の緊急性:高
    →脱炭素規制への対応
    ・排出量取引、省エネ法等の規制に対応したい企業

  3. 内的要因×投資行動の緊急性:低
    →投資家、評価機関へのアピールをしたい企業

  4. 外的要因×投資行動の緊急性:低
    →いつか強化・導入される可能性がある脱炭素規制への準備・機会の獲得
    ・気候関連リスク・機会をまずは特定したい企業
    ・炭素税等による経済的影響を把握・見える化したい企業
    ・炭素コスト上昇に備え、先行的に脱炭素設備を導入したい企業

導入のメリット

ICP導入によるメリットは内部への効果と外部への効果に分けられます。

内部への効果としては以下3点のメリットが挙げられます。

  1. CO₂価格の見える化
    CO₂という見えないものに対してどう評価すればよいか分からないといった状況が、ICPを導入することでCO₂が価格づけされ、CO₂に対する投資額・コストが可視化されます

  2. 脱炭素目標達成に向けた全社ガバナンスの構築
    各部署の投資基準に従い、ばらばらに脱炭素を推進していた状況が、ICPを導入することで企業横断的な基準が設定され、脱炭素に関する企業ガバナンス整備の一助となります。

  3. 脱炭素投資の意思決定を後押し
    現状の投資基準だと対象外となり、脱炭素への投資ができないといった状況が、CO₂削減量を「見なしの利益」として加味することで、投資対象が増加し、脱炭素活動が推進されます。

外部への効果としては脱炭素要請に対する企業の姿勢を定量的に示すことができます。

ICPを導入することで経済的成果と気候変動対策を両立して事業運営を行っていることを、対外的にアピール可能です。

実務上、以下の国際的イニシアチブでもICPが重視されています:

  • CDP:気候変動質問書でICPの導入状況・価格設定・用途が問われる
  • TCFD:戦略・リスク管理の文脈でICPの活用が推奨されている

こうした背景から、ICPは企業価値や投資家評価を高める手段としても注目されています。

ICP導入企業の動向・事例

本章では、世界および日本におけるICP導入企業の増加傾向と、その背景にある国際的な開示要請の強化について整理します。

さらに、国内外の先進企業が、どのようにICPを価格設定し、投資基準や内部賦課金制度として運用しているのかを具体的な事例として取り上げます。

ICP導入企業の動向

世界各国でICPを導入する企業は拡大しています。2015年から2020年にかけて、ICP導入/導入を検討している企業の数は80%以上増加しており、また、2000社以上がCDP回答でICPを導入/導入を検討していると開示しています。これらの企業の時価総額の合計は現在27兆米ドルを超えており、2017年時点の7兆米ドルから大幅に増加しています。

日本においてもICPの導入企業は拡大しており、導入済み及び2年以内に導入企業は半数に迫る勢いです。(CDP「気候変動レポート2022:日本版」)
セクター別では製造セクターが最も多く、次いで素材セクター、サービスセクター、インフラセクターと続いています。プライシングについては、セクター間の中央値に大きな差が見られるという現状です。

これらの背景には気候変動に関する各種イニシアチブがICPの導入を推奨していることがあると考えられます。TCFDが2017年に公表した企業に情報開示を求めるフレームワークを示した「TCFD提言」の中では、「戦略と目標」項目においてICPの実施が推奨されており、CDPの気候変動質問書においても、ICPに関する回答が求められています。
さらには、ISSBが2023年に公表したIFRS[サステナビリティ開示基準]やCSRDにおいてもICPに関する情報開示が要請されています。

ICP導入企業の事例

国内外の先進企業が、どのようにICPを価格設定し、投資基準や内部賦課金制度として運用しているのかを具体的な事例として取り上げます。これにより、ICPが実際に企業の設備投資や再エネ調達、低炭素製品開発にどのように活用されているのか、その実務的な活用イメージをつかむことができます。

事例①:消費財メーカー(素材系・国内)

■ 活用方法

投資判断における費用便益分析へ一部反映。

■ 適用対象範囲

国内拠点、Scope1・2のみ。

■ 設定価格・設定方法

  • 価格:2.0万円/t-CO₂
  • 設定方法:
    以前は低めの炭素価格を採用していたが、国際的な1.5℃水準に整合的な排出削減が現行の投資判断基準では困難であることが判明。
    そのため、省エネ設備等への投資を進めるために炭素価格を大幅に引き上げた。
  • 分類:Shadow Price(シャドープライス方式)

■ 活用方法(投資評価)

品目別に設定された基準年において、経済的付加価値(EVA)がプラスになることを条件に設備投資を判断。
省エネによるエネルギーコスト削減額+CO₂削減量×炭素価格を便益として扱い、投資基準に組み込む。

■ 社内体制

ESG関連の横断組織が最終的な投資判断を行う。
排出量の大部分を占める物流部門がICPを運用。

■ 導入例(一般化)

  • 国内工場への高効率熱利用設備の導入
  • 複数拠点でのオンサイト再エネ発電設備の設置

事例②:情報サービス企業(国内中心)

■ 活用方法

Internal fee(社内炭素チャージ)として運用。

■ 適用対象範囲

国内グループ全体、Scope2。

■ 設定価格・設定方法

  • 価格:4,000円/t-CO₂
  • 分類:Internal fee

■ 活用方法(社内部門への賦課)

電力消費量が大きい事業部門に対し、再エネと従来電源の差額に相当する炭素コストを負担させる仕組みを導入。
徴収した資金は、

  • 将来の再エネ調達の原資
  • 一部は高負荷設備の電力費補填
    として使用。

■ 社内体制

各部門の電力使用に応じて賦課金を徴収。

■ 導入例(一般化)

  • 年間で約十数億円規模の賦課金を回収
  • 部門レベルでの気候意識が向上し、再エネ導入方針に変化が生まれた

事例③:グローバル製造業(欧米)

■ 活用方法

Internal fee+Shadow Priceのハイブリッド運用。

■ 適用対象範囲

グループ全体、Scope1・2・3。

■ 設定価格・設定方法

  • 価格帯①(Scope1–3上流):数千〜1.5万円/t-CO₂
    →削減コスト曲線や欧州の炭素市場価格など外部価格を組み合わせて設定。
  • 価格帯②(Scope3下流):数万円〜7万円程度/t-CO₂
    →製品性能規制や市場のペナルティ基準を参考に算定。
  • 分類:Shadow Price

■ 活用方法

すべての製品開発プロジェクトに適用。
製品のCO₂性能に応じて、事業性評価(ビジネスケース)にプラス/マイナスの補正を加える「ボーナス・マルス制度」を運用。
低炭素技術(電動化や省エネ技術等)への投資を促進。

■ 社内体制

炭素価格の妥当性を定期的にレビューし、政策環境や市場状況を踏まえて調整。

■ 導入例(一般化)

  • 低炭素製品の販売比率が増加

新設工場におけるカーボンフリー設備導入を後押し

ICPを導入するまでの流れ

本章では、企業がICP(インターナルカーボンプライシング)を導入する際に踏むべきプロセスを、全体像として整理して解説します。最初に、導入目的の明確化から始まり、価格設定方法の検討、活用対象となる意思決定プロセスの見直し、社内体制の整備へと進む一連の流れを紹介します。加えて、対象事業・対象企業・地域・基準統一の観点から適用範囲をどのように決めるべきか、脱炭素目標との整合性をどのように確保するのか、そしてICP予算の管理や上限設定をどう考えるかといった、実務で欠かせない論点を押さえます。ICP導入に必要な検討事項を網羅的に理解することで、企業が自社の状況に合わせた導入ステップを設計できるようになることを目的としています。

1.導入目的の検討

目的が明確でないと、効果的にICPを導入することはできません。今後の長期的な脱炭素目標等も考え、ICP導入の目的を明確化します。

2.価格設定の検討

まずは、ICP価格のプロット、設定価格ごとのメリット/デメリットを整理します。
その後、算定対象を特定したうえで、外部価格や同業他社価格と合わせ、想定されるICP価格を網羅的に把握、意味合いを理解します。
それらをもとにICP導入の目的や社内の理解度に即したICP価格を設定します。
次の章で価格の種類や設定方法についても触れていきます。

3.用途・意思決定プロセスの検討

ICPを導入することで追加/変更が必要となる役割・プロセス・ルールを明確化します。

4.社内体制の検討

既存システムを活用し投入資源を最小化しつつ、PDCAサイクルを回し効果を最大化します。

5.適用範囲・企業範囲の検討

以下4点を検討します。

①対象事業
全事業を対象とするか、一部事業を対象とするかを決定します。
全事業を対象とする場合、会社全体での脱炭素の意識醸成が進み、一部事業を対象とする場合、CO₂排出量が多い事業に投資を集中させ、効率的な脱炭素に資する投資が可能になるというメリットがあります。

②対象企業
本社のみを対象とするか、グループ会社までを対象とするかを決定します。
本社のみを対象にする場合、ガバナンスが効きやすく、ICPの導入や、投資実績・CO₂削減実績に関するモニタリグ実施しやすく、グループ会社までを対象とする場合、グループ全体での脱炭素投資が推進されるというメリットがあります。

③対象地域
対象を国内のみか海外も含むかを決定します。
国内のみを対象にする場合、ガバナンスが効きやすく、ICPの導入や、投資実績・CO₂削減実績に関するモニタリングが実施しやすく、海外会社までを対象とする場合、グローバル横断的な脱炭素の推進が可能になるとうメリットがあります。

④基準の統一性
事業や企業をまたいで導入する場合、基準(ICP価格、投資基準、運用ルール)、投資の意思決定プロセスは横断的にするのか、それぞれ決定するのかを決定します。
全社統一的な基準を用いる場合、運用・管理・モニタリングが実施しやすく、各社で基準を設定する場合、各地域・企業の既存のルールや投資基準に沿ったICP導入が可能というメリットがあります。

ICPの運用は、まずは小規模な領域から始め、成功事例を積み重ねながら徐々に全社へと拡大していくことが理想的です。たとえば、社用車の更新時にガソリン車とEV車のどちらを選択するかといった比較的シンプルな意思決定にICPを試験導入することで、効果を具体的に実感しやすくなります。このような小さな成功体験が、将来的により大きな投資判断へICPを適用していく際の重要な推進力となり、社内の理解や制度定着を後押しすることが考えられます。

6.削減目標と投資連動性の検討

脱炭素目標と投資額の連動性について確認するため、目標達成に向けた必要投資額を概算し、予算編成時に活用可能な情報として整理します。

7.予算管理・予算上限の検討

予算管理に関する論点を以下に示します。
・ICPの予算枠は別途設けるか→ICP予算枠を設定or従来の予算の中で設定
・誰が追加資金を出すのか→コーポレートor事業部
・どのようにして予算額を設定するか→トップダウンorボトムアップ
・どのタイミングで申請するか→期初or随時

ICP予算の上限を設定するかどうかの可否はメリットデメリットを踏まえて判断が必要です。
上限を設定する場合、事前に決めた投資額以上のコストは発生しないというメリットがある一方、期中に有用な投資案件が出た際に投資が見送られる・追加コストが発生する可能性があるといったデメリットがあります。
上限を設定しない場合、申請タイミングに関わらず、投資の実効が可能というメリットがある一方、予定外の投資コストがかかる可能性があるというデメリットがあります。

価格の種類・と設定方法

本章では、ICP(インターナルカーボンプライシング)の価格がどのように分類され、どのような方法で設定されるのかを整理して解説します。ICPの価格設定方法として一般的に採用される4つのアプローチ(外部価格の参照、同業他社ベンチマーク、社内協議による価格設定、CO₂削減目標を基盤とした数理的分析)について、その違いや実務での使いどころを説明します。

価格の種類

ICPの価格の種類は以下2種類に分類されます。

・Shadow Price
想定に基づき炭素価格を(演算的に)設定されたものです。

・Implicit carbon price
過去実績等に基づき算定して設定されたものです。

価格の設定方法

また実際のICPの価格設定方法は主に以下の4パターンが考えられます。 難易度・温暖化対策の実効性の踏まえ、自社が取り組みやすい方法を選択していきます。

shiryou3.pdf

1.外部価格の活用

炭素税、排出量取引等に紐づく炭素価格が該当します。
これはShadow priceに該当し外部の市場単価予測から価格決定をする方法です。

2.同業他社価格のベンチマークを参照

CDP回答などの公表値をもとに、同業他社の価格をベンチマーク調査します。同業に加え、自社のサプライチェーンの企業の調査を行うことも有効です。
これはImplicit carbon priceに該当し他社の意思決定単価から価格決定する方法です。

低酸素投資を促す価格に向けた社内協議
投資したい対策に対して、投資の意思決定が逆転する(した)であろうICP価格を算出し、投資を促します。
これはImplicit carbon priceに該当し過去の投資と単価から価格決定する方法です。

3.CO₂削減目標による数理的な分析

自社で定められたCO₂削減目標達成に向け、自社の低炭素取り組みを(LED・太陽光・再エネ導入など)を列挙した上で、対策総コストと累計削減量(t―CO₂)から、ICPの価格を算出可能です。
このことで、目標達成に向け費用対効果の高い低炭素取り組みから効率的なものを導入することが可能になります。
これはImplicit carbon priceに該当し企業の目標と経済合理的な削減対策の実務から価格決定する方法です。

価格決定難易度としては「1,外部価格の活用」が最も低く、「4、CO₂削減目標による数理的な分析」が最も高くなります。一方、温暖化対策の実効性の観点では、「4、CO₂削減目標による数理的な分析」が最も大きく、「1、外部価格の活用」が最も小さくなります。
難易度・温暖化対策の実効性を鑑み、自社が取り組みやすい方法を選択します。現状においては「1、外部排出の活用」が多くなっています。

ICPの活用方法

本章では、ICP(インターナルカーボンプライシング)を企業内でどのように活用していくか、その基本的なプロセスを2段階で整理して解説します。
次に、これらの活用方法のうち自社がどこから着手すべきか、どのように内部展開していくかという全体的な方向性を整理します。スモールスタートとしての「見える化」から始め、投資基準への組み込み、最終的にはInternal feeや投資ファンドへの発展を目指す流れを俯瞰し、段階的にICPを定着させるための実務的な視点を提供します。

2段階で活用方法のプロセスを進めていきます。以下順番に説明していきます。

活用方法の種類を理解する

活用方法の種類として下記4つがあります。

1)経済影響の見える化
2)投資の基準値での活用
 CO₂削減コストがICPを下回る場合に投資を実施するといったような、ICPを投資基準の一つとすることで、脱炭素投資の推進が期待されます。
3)投資基準の引き下げ
 ICPと投資設備によって見込まれるCO₂削減量を掛け合わせ、ICP分だけの収益を増やすことで、投資基準の引き下げが可能となり、脱炭素投資の推進が期待されます。
4)脱炭素投資ファンドを構築
 排出量削減目標の達成やイノベーションを促進するために、各部門におけるCO₂排出量に応じた資金を収集する際にICPを活用できます。
 具体的には、各部門におけるCO₂排出量をモニタリングし、ICPにより、CO₂排出量に応じた資金を算出、資金を収集し、脱炭素投資ファンドとして運用するという流れで行われます。
 このような脱炭素投資ファンドを形成する際には、①徴収方法(誰から資金を徴収するか?)、②価格設定(ICP価格の設定をいくらにするか?)、③配分方法(誰に資金を配分するか?)について検討が必要になります。

ICPの展開の方向性を定める

上記4種類の活用方法のうち、自社が採用可能な活用方法を検討します。

まずは、投資基準の参照値として見える化をすることも一案です。
その後、投資基準への反映を徐々に目指していきます。
まずは、現状価格・過去の投資価格を参照用(見える化)として導入する場合でも、炭素価格の上昇を想定し、並行して自社でのSBTなどの脱炭素目標を決定し取り組みを推進していく必要があります。
このような取り組みの中で、自社にとって有用であると判断した場合は、「各部門から資金を徴収し、省エネ、R&D投資に資金を提供する枠組みとして」Internal fee導入を目指します。
脱炭素の追加投資の獲得や社内の理解促進などのアクションが必要とされますが、最終的に脱炭素投資ファンドへ展開することで全社的な脱炭素を推進します。

本記事のまとめ(要点)よくある質問(FAQ)

本記事のまとめ(要点)

ICPは、企業が自ら設定した炭素価格を投資判断やガバナンスに組み込む仕組みであり、脱炭素経営を前進させる重要な手法です。本記事では、ICPの基本概念から導入目的、価格設定方法、活用プロセス、国内外の事例を整理しました。

ICPは、脱炭素投資の促進や炭素リスクの可視化に活用され、CDP・ISSBといった国際基準でも導入が推奨されています。導入目的は、脱炭素目標達成、社内意識醸成、規制対応、投資家評価向上など多岐にわたり、メリットとしてはCO₂価格の見える化、全社ガバナンスの強化、投資意思決定の後押し、対外的信頼の獲得が挙げられます。

世界・日本ともICP導入企業は増加しており、特に排出量の大きいセクターで普及が進んでいます。導入は、目的の明確化から価格設定、用途整理、社内体制構築、適用範囲の検討、脱炭素目標との整合、予算管理の検討というステップで進めるのが実務的です。

ICPは、炭素価格を通じて投資判断と脱炭素戦略を結びつける実践的なツールであり、まずは小規模な領域から導入し、成功事例を積み重ねながら全社展開につなげていくことが鍵となります。

よくある質問(FAQ)

Q1. ICPの価格はどのくらいに設定するのが一般的ですか?

A. 業種や目的によって大きく異なりますが、企業のICPは数千円~数万円/ tCO₂の幅があります。

外部価格(EU-ETSなど)を参考に数千円台 SBT達成を前提に数万円台に引き上げる企業も増加中
目的と自社の脱炭素目標を踏まえて設定することが重要です。

Q2. まず何から着手すべきですか?

A. 導入目的の明確化が最優先です。
「投資促進なのか、規制対応なのか、見える化か」によって、価格や適用範囲、活用方法が異なります。

Q3. CDPではICPについてどんな情報が求められますか?

A. 過去の質問書では主に以下が問われています:

価格設定の根拠(外部価格・社内分析 など)
CDP回答の精度向上のためにも、内部文書としてICP方針を体系化することが推奨されます。

ICPを導入しているか

設定価格

活用範囲(Scope・対象事業)

活用方法(投資基準、Internal fee など)


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