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ネットゼロにおけるクレジット活用の評価

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SBTネットゼロにおけるカーボン・クレジットの位置づけを解説。オフセット不可の原則から、BVCMの評価や企業に求められる対応、今後の制度変更までを分かりやすく整理。

tcfd-consortium.jp/pdf/news/24083001/Transition_Plan_Guidebook_J_v2.pdf

最終更新日:2026年3月16日

この記事を読んで欲しい人

・SBTネットゼロへの対応を検討している企業担当者
・カーボン・クレジットは「使えるのか」を正確に理解したい方
・BVCM(Beyond Value Chain Mitigation)の制度的位置づけを知りたい方
・SBTiネットゼロ・スタンダードv2の変更点を把握したい方
・脱炭素投資やクレジット購入を経営判断に活かしたい方

目次

導入

SBTネットゼロにおいて、カーボン・クレジットは「使えるのか」「評価されるのか」という点は、多くの企業にとって分かりにくい論点の一つです。SBTiは、ネットゼロ・スタンダードv2の公開を通じて、引き続きオフセット目的でのクレジット使用を認めない一方で、残余排出への対応としてBVCM((Beyond Value Chain Mitigation)を正式に位置づける方向を示しています。

本記事では、SBTネットゼロにおけるクレジット活用の評価の考え方を整理し、BVCMの位置づけや企業に求められる対応、今後の制度変更のポイントを分かりやすく解説します。


SBTネットゼロでの評価(BVCMについても紹介)

SBTiからも企業のネットゼロスタンダードv2が公開されています。このネットゼロ・スタンダードv2では、企業は、ネットゼロへの移行の過程で継続的な排出に責任を持ち、ネットゼロ目標年およびその後残余排出の影響を中和することが求められています。

現在公開されている第2回コンサルテーションドラフトでは、企業の継続排出量への責任は2035年まで任意となりますが、その後はカテゴリーA企業がこれらの排出量に対し段階的に責任を負うことが義務付けられています。また、全企業はネットゼロ達成年までに、残余排出量の100%を中立化するか、間接的なバリューチェーン排出量については、バリューチェーンの取引先がこれらを中和することを保証しなければなりません。ネットゼロ目標年以降、すべての企業がスコープ1~3残余排出量をCO2除去により中立化し、ネットゼロ目標年において、残余排出量の41%以上が長寿命貯留層で除去・貯留される必要があります。(2035年は17%想定)

※カテゴリーA企業:高所得地域で事業を行う大企業および中規模企業。ネットゼロスタンダードv2では、企業はこのカテゴリーAとカテゴリーB(低所得地域で事業を行う中小企業)に分けられる。

出所:CNZS-V2-_-Detailed-Explanatory-Guide_Japanese.pdf

SBTiにおける一連の変更を踏まえても、企業が自社の排出量削減目標の達成手段としてカーボン・クレジットを用いる、いわゆる「オフセット目的でのクレジット使用」は引き続き認められていません。一方で、削減しきれずに残る「残余排出」に対処するための手段の一つとして、バリューチェーン外での気候変動対策への貢献(BVCM: Beyond Value Chain Mitigation)が正式に位置づけられる方向となっています。

具体的には、高品質なカーボン・クレジットの購入、炭素貯留・除去技術への投資、マングローブ林や泥炭地の保全といった自然ベース解決策など、企業のバリューチェーン外で実施される取り組みがBVCMとして認められます。SBTiのネットゼロ・スタンダードでは、こうしたBVCMを通じて、企業が炭素除去の拡大や気候変動対策への資金動員に貢献することが、残余排出に対応するための有効な選択肢として提示されています。

これまでのBVCMへの取り組みは、企業の自主性に委ねられており、明確な評価や認定の仕組みが存在しなかったため、積極的に取り組む企業にとってのインセンティブは限定的でした。今回の改定案では、一定のルールに基づいてBVCMに取り組む企業を評価・差別化できる認定フレームワークの設計が議論されています。

例えば、自社排出量の1%以上に相当するカーボン・クレジットの購入や、脱炭素技術への資金支援などを行うことで、追加的な認定を取得できる仕組みが想定されています。このような制度が導入されれば、気候変動対策により積極的に取り組む企業が、他社との差別化を図ることが可能となるでしょう。

BVCMに取り組む企業にとっては、限られた資金を投入することになるため、単なるコストではなく、社会的信頼性や評価、PR効果につながる高品質なカーボン・クレジットの選定や、意義のある取り組みへの投資が、これまで以上に重要になります。

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