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Scope3 カテゴリ2 の算定には、なぜ対象物ではなく業種別の排出係数が使われているのか?

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Scope3 カテゴリ2 の算定には、なぜ対象物ではなく業種別の排出係数が使われているのか?算定中に陥りがちな疑問について、実務視点でわかりやすく解説します。

この記事を読んで欲しい人

・サステナビリティ・ESG担当として開示業務を担う方
・GHG算定の基礎を理解したい企業側の実務者
・算定を行う意義・目的について理解を深めたい方

目次

導入

Scope3 カテゴリ2(資本財)の算定では、対象物(個別設備や機械)そのものの排出係数ではなく、業種別(経済活動別)の排出係数が使われることが多くなっています。その理由を、制度設計上・実務上の両面から整理しご案内します。

理由1:データの入手性

Scope3 カテゴリ2の算定の対象となる資本財には、工場設備、車両、建設物、IT 機器などがあります。これらは

・それぞれに仕様が異なる
・サプライチェーンが多段で複雑
・製造時の一次データ(原材料・工程別排出量)が非公開

という特性があります。一点ごとの LCA データ(Life Cycle Assessment、製品やサービスの一生を通じて、環境にどの程度の負荷を与えているかを定量的に示した数値データ)を入手することが極めて困難であり、これらを網羅的に整備することが現実的ではありません。そのため、「業種平均」で代表させる手法が現実解として採用されています。

理由2:GHG プロトコルの許容・推奨

Scope3 算定の基準となる GHG プロトコル Scope3 Standard では、カテゴリ2 について、以下の方法を明示的に認めています。

・支出ベース法(Spend-based method)
   – 購入金額×業種別排出係数(円あたりCO2)
・平均データ法(Average data method)
   – 資本財の平均的な LCA データ

特に初期段階では、”企業が合理的努力で入手可能な最善のデータを用いる” とされており、業種別排出係数を使用した算定は制度的に正当と認められます。

【参考】GHG Protocol: Category 2 Capital Goods (Scope 3 Calculation Guidance)
https://ghgprotocol.org/sites/default/files/standards_supporting/Chapter2.pdf(P37)
Average spend-based method, which involves estimating emissions for goods by collecting data on the economic value of goods purchased and multiplying by relevant secondary (e.g., industry average) emission factors (e.g., average emissions per monetary value of goods).

理由3:比較可能性・一貫性の観点

対象物、個別設備ごとの排出係数を使うと、

・設備Aは詳細LCAあり
・設備Bは推定
・設備Cは未算定

という算定制度のばらつきが発生します。そのため、結果として

・年度間比較
・企業間比較
・KPI管理

が困難になります。
業種別係数を使うことで、算定ルールの一貫性と再現性を担保することができます。

理由4:影響の大きさの把握が主目的

Scope3 カテゴリ2 の本来の狙いは、「どの調達領域が排出量に大きな影響を及ぼしているか」を把握することにあり、個別設備の精密 LCAを行うこと自体が目的ではありません。そのため、業種ごとの平均係数を使用して”傾向をつかむ”ことが合理的とされています。

まとめ

これらをまとめると、下記観点で Scope3 カテゴリ2においては、特に初期段階においては、支出ベース法にて「購入金額×業種別排出係数」で算定を行うことが一般的に行われています。

・データ制約:資本財の個別 LCA 入手が現実的でない
・制度的正当性:GHG プロトコルが支出ベース法を認可
・比較可能性:算定の一貫性・再現性を確保
・目的適合:排出影響の大枠把握が主目的

しかしながら、これらは最終的ではなく、GHG プロトコルでは算定手法の進化として
1.業種別係数(支出ベース)
2.物量ベース
3.製品別カーボン フットプリント(一次データ)
へと段階的に高度化することが想定されています。
今は支出ベース・業種別の算定であっても、将来的には対象物別のロードマップを描けることが理想となります。

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