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クレジット活用で失敗しないために|制度別「使える・使えない」の判断軸

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カーボン・クレジットの具体的な活用方法を、ISO14068-1、国内認証制度、SBTネットゼロ(BVCM)まで体系的に解説。企業担当者向けの実務ガイド。

最終更新日:2026年3月16日

この記事を読んで欲しい人

・企業のサステナビリティ/ESG/GX担当者
・カーボン・クレジットの導入や活用を検討している経営企画・環境担当者
・ISOカーボン・ニュートラルやSBTネットゼロへの対応を検討している方
・BVCMやカーボン・オフセットの最新動向を正しく理解したい方
・「クレジットは使えるのか/使えないのか」で悩んでいる実務担当者

目次

導入

カーボン・クレジットは、企業の脱炭素経営を支える重要な手段の一つですが、その「正しい使い方」は制度や目的によって大きくことなります。

ISOカーボン・ニュートラルへの対応、国内外の認証制度、そしてSBTネットゼロにおける評価など、用途を誤ると「使えない」「評価されない」ケースも少なくありません。本コラムでは、カーボン・クレジットの主な利用方法を整理したうえで、ISO規格や日本国内の認証制度、さらにSBTネットゼロにおけるBVCMの位置づけまで、実務に役立つ視点で分かりやすく整理します。


カーボン・クレジットの活用方法

カーボン・クレジットはどのように活用されるのでしょうか。現在の主なクレジットの活用方法は表1のようになっており、組織は、利用目的に合わせてカーボン・クレジットを調達する必要があります。

表1. 目的別カーボン・クレジットの活用方法

ISOカーボン・ニュートラル対応

具体的な活用方法の一つとして、ISOカーボン・ニュートラル基準への対応があります。カーボン・ニュートラルやネットゼロは国際的な規格であるISO規格化が進んでいます。現在、カーボン・クレジットを活用しての企業としてカーボン・ニュートラルを主張することができるISO14068-1が存在します。これはBSI(The British Standards Institution、英国規格協会)が定めていたカーボン・ニュートラルの規格であるPAS2060の進化版になります。IPCCレベルではカーボン・ニュートラルとネットゼロは混合されがちですが、ISOではより細かく定義が分けられています。

‐カーボン・ニュートラル(ISO14068-1):組織・製品・サービスも対象。削減+除去+オフセットでフットプリントをゼロにする概念。

‐ネットゼロ(Net Zero Guidelines/ISO14060-2):国家や組織にフォーカスし、長期的に残余排出量以外を削減したうえで、残余排出量のみを除去系のカーボン・クレジットで中和するという、より厳格なフレーム。

ISO14068-1では直接的もしくは間接的GHG排出量を削減(reduce)し、さらにGHG除去(removal)の強化に優先順位をつけ、活動の後に残っているカーボンフットプリントについてのみ、カーボン・オフセットを行うことによるカーボン・ニュートラルを認証するものです。PAS2060との違いは細かくあるものの、要件として一番難しいのはクレジットの要件の部分が挙げられます。既存のISOにおいては主張をする期間の開始より5年以内に創出されたカーボン・クレジットの活用かつ、相当調整(corresponding adjustment)※3が行われている必要がある点が一番の難点となります。これはパリ協定が適用される前のビンテージのものについては考慮しなくて良いのですが、適応される年度以降については考慮する必要があります。なお、現時点ではJ-クレジットは適応対象外の可能性が高いと考えられています。

※3相当調整:パリ協定第6条に基づき、排出削減・吸収の成果である国際移転緩和成果(ITMOs)を他国に移転する際に、ホスト国(クレジット創出国)が、その分の削減・吸収量を自国のNDC(国が決定する貢献)の達成計算から差し引く、または必要に応じて加算する会計上の調整を指す。

この調整は、同一の排出削減または除去の成果が、複数の国によって同時にNDC達成のために計上される「二重計上」を防止することを目的としている。

なお、排出削減成果が企業等によってカーボン・クレジットとして利用される場合、当該成果がホスト国の承認を受けてITMOsとして国際移転され、特定の用途(NDC達成等)に用いられるときに限り、相当調整が適用される。

カーボン・オフセット認証の紹介

上述のISOは海外の認証ですが、日本国内でも環境省によるカーボン・オフセット認証、カーボン・ニュートラル認証という仕組みがあります。これは、「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)」(平成26年3月31日環境省)を受けて、平成29年6月1日(Ver1.0)「カーボン・オフセット第三者認証プログラム実施規則」にカーボン・オフセット第三者認証プログラムが定められたものです。様々な企業が自社の排出量や製品の認証に取り組んでおり、認証をとることで環境配慮型企業としてのPR,取引先・顧客からの評価向上、社内の温暖化対策への意識向上といった効果を期待しています。

SBTネットゼロでの評価

SBTiからも企業のネットゼロスタンダードv2が公開されています。このネットゼロスタンダードv2では、企業は、ネットゼロへの移行の過程で継続的な排出に責任を持ち、ネットゼロ目標年およびその後に残余排出の影響を中和することが求められています。

現在公開されている第2回コンサルテーションドラフトでは、企業の継続排出量への責任は2035年まで任意となりますが、その後はカテゴリーA企業がこれらの排出量に対し段階的に責任を負うことが義務付けられています。また、全企業は、ネットゼロ達成年までに、残存排出量の100%を中立化するか、間接的なバリューチェーン排出量については、バリューチェーンの取引先がこれらを中和することを保証しなければなりません。ネットゼロ目標年以降、全ての企業がスコープ1~3残余排出量をCO2除去により中立化し、ネットゼロ目標年において、残余排出量の41%以上が長寿命貯留層で除去・貯留される必要があります(2035年は17%想定)。

※カテゴリーA企業:高所得地域で事業を行う大企業および中規模企業。ネットゼロスタンダードv2では、企業はこのカテゴリーAとカテゴリーB(低所得地域で事業を行う中小企業)に分けられる。

出所:CNZS-V2-_-Detailed-Explanatory-Guide_Japanese.pdf

上記を含むSBTiにおける変更により、オフセット目的でのクレジット使用は依然認められていないものの、残余排出の中和の手段の一つでもある、残余排出の中和手段として、高品質なカーボン・クレジットの購入、炭素貯留・除去技術への投資、マングローブ林や泥炭地の保全などの企業のバリューチェーン外の貢献(BVCM:Beyond Value Chain Mitigation)に関する取り組みが正式に認められる形となっています。SBTiネットゼロスタンダードでは、企業が炭素除去をより拡大し、気候資金を動員する機会といった、残余排出量に対処するためのオプションが提案されています。

これまでは、このBVCMの活動について取り組む企業側のインセンティブがなく、自主性に任せられてきました。今回の改定案では一定のルールに基づいてBVCMに取り組む企業に対して差別化を図ることができる認定フレームワークの設計が議論されています。

例えば自社の排出量の1%以上分のカーボン・クレジットの購入や、脱炭素技術への支援を行うことで、追加的な認定を得ることができるというような仕組みが考えられています。この制度により、より気候変動に積極的に取り組む企業の差別化がなされます。 BVCMに取り組む企業にとっては、貴重な資金を投入するため、よりPRにつながるクレジットの購入や取り組みへの投資を検討する必要があります。

出所:ABOVE AND BEYOND: AN SBTI REPORT ON THE DESIGN AND IMPLEMENTATION OF BEYOND VALUE CHAIN MITIGATION (BVCM)

まとめ

ボランタリー市場においても、ISOやSBTiでのクレジット利用方法についても具体的な指針が出てきています。そのため、クレジット利用する場合には、まず目的を明確にし、その目的に応じた信頼性と追加性の高いカーボン・クレジットを調達する必要があります。

クレジットの調達方法にお悩みの際には是非お気軽にご相談ください。

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