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IDEA排出係数とは?カテゴリ1算定から削減へつなげる視点

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Scope3カテゴリ1の算定で広く使われるIDEA排出係数。その役割と限界、そして「答え」にしないための使い方を、サステナビリティ担当者の現場目線で整理します。

最終更新日:2026年3月9日

この記事を読んで欲しい人

・ Scope3カテゴリ1の算定を担当しているサステナビリティ/ESG/環境担当者
・ IDEA排出係数を使って算定はしているが、「次に何をすべきか」に迷っている方
排出量算定が、報告義務になってしまっていることに違和感を覚えている方
・ サプライヤーとの対話や一次データ活用をどこから始めるべきか悩んでいる方

目次

導入

Scope3カテゴリ1の算定に取り組む中で、毎年「物量ベースの仕入データをとらえ、IDEA排出係数を使っているが、これで全身しているのだろうか」そんな違和感を覚えたことはないでしょうか。

IDEA排出係数は、多くの企業にとって、カテゴリ1算定を成立させてきた欠かせない存在です。一方で、算定を続けるほどに、数字と実感のズレに悩む担当者も少なくありません。

本コラムでは、IDEA排出係数とは何かを整理したうえで、現場で実際に起きている違和感と、その向き合い方について考えていきます。

IDEAとは何か?

Scope3の算定、とりわけカテゴリ1(購入した製品・サービス)に携わるサステナビリティ担当者にとって、「IDEA排出係数」を使って算定しているケースは多く見られます。

IDEA(Inventory Database for Environmental Analysis)とは、産業技術総合研究所(AIST)が整備したLCA用のインベントリデータベースです。日本の産業構造をもとに、製品やサービスを1単位購入・利用した場合に、平均的にどれだけの温室効果ガスが排出されるかが「排出原単位(排出係数)」として整理されています。

IDEA排出係数の特徴は、日本国内の実態を反映した平均値であること、そして原材料、加工品、サービスまで幅広くカバーしていることです。そのため、Scope3カテゴリ1のように対象範囲が広く、一次データの取得が難しい領域では、事実上の標準的な二次データとして広く使われています。特にこの頃物価上昇がある中で物量ベースの係数が豊富なIDEA排出係数は産業連関表と比べても特にモノづくりをしている企業にとっては活用しやすい排出係数と考えられます。

現状―なぜ私たちはIDEA排出係数に頼っているのか

カテゴリ1の算定では、原材料、部品、外注加工、業務委託など、数も種類も膨大な購入品目を扱うことになります。すべてのサプライヤーから排出量の一次データを集めることは、時間的にも、関係性の面でも、現実的ではありません。そのため、多くの企業では、購入数や購入金額にIDEA排出係数を掛け合わせる方法を採用しています。この方法は、完璧ではありませんが、算定を「回す」ことができるという点で、現場を確実に支えてきました。

問題点―数字は出るが、前に進んでいる実感がない

一方で、算定を続けていると、ある違和感が生まれてきます。
排出量という数値として毎年算定している一方で、それが実務上の前進なのかどうかが分からない、という感覚です。

その背景には、IDEA排出係数の性質があります。IDEAは、日本の平均的な生産・サービス構造を前提とした排出係数です。そのため、再生可能エネルギーを導入しているサプライヤーと、そうでないサプライヤーであっても、算定上は同じ係数が適用されます。個々の改善努力は、平均値の中に吸収され、数字には現れません。これは2次データを使っている以上は避けて通れない事実です。

その結果、排出量管理は次第に、「改善のための手段」ではなく、「報告のための作業」に近づいていきます。IDEA排出係数そのものが問題なのではありませんが、IDEAを「答え」として扱ってしまうことは、思考を止めてしまうリスクをはらんでいます。

改善策―IDEAを「出発点」として使いなおす

では、IDEA排出係数をどのように使えばよいのでしょうか。
答えは単純で、IDEAを最終的な答えにしないことです。

IDEA排出係数が本来持っている価値は、削減量を正確に評価することではありません。排出量の全体像を整理し、「どこが重たいのか」を見つけることにあります。

カテゴリ1の排出量の中で、どの原材料や品目が大きな割合を占めているのか、
排出原単位が特に高く、放置すると影響が大きいのはどこか。IDEAは、そうしたポイントを浮かび上がらせるための「地図」の役割を果たします。

まずはIDEAを使って全体像を把握し、その中から影響の大きい領域を特定します。
そして、その一部について、サプライヤーとの対話や一次データの取得を検討します。


すべてを一度に変える必要はありませんが、次に踏み出す場所を意識的に選ぶことが重要です。2次データに頼ること自体は、決して悪いことではありません。ただし、これらを使うことが目的になってしまうと、カテゴリ1の排出量管理は前に進まなくなります。 Scope3カテゴリ1は、2次データを活用した算定から始まります。しかし、削減に本気で向き合うのであれば、いずれ産業連関表の原単位やIDEAだけでは足りなくなる。その前提を忘れずにいることこそが、現場にいるサステナビリティ担当者に求められている役割とも考えられます。

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