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FLAG目標の内容とは?

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SBTiが求めるFLAG目標とは何か。エネルギー起源排出との違い、目標構造と選択ルート、セクター別・コモディティー別の考え方、求められる要件を体系的に解説します。

※本記事は、環境コンサルティング専門のWaste Boxが、最新の気候関連開示・企業動向をもとに実務的な観点で整理しています。最終更新日:2026年2月5日
監修:株式会社Waste Box 小澤
(GHG排出量算定、SBT認定、CDP回答支援)

この記事を読んで欲しい人

・SBTi対応を検討・推進している企業のサステナビリティ担当者
・Scope3排出量の算定・管理を担当している実務者
・食品、農業、畜産、林業、バイオマス、紙・木材関連業者の担当者

目次

導入

脱炭素経営が進展する中で、企業の温室効果ガス削減に求められる視点は、エネルギー起源排出の削減にとどまらなくなっています。特に、森林減少や土地利用、農業活動に由来する排出への対応は、気候変動対策の実効性を左右する重要な要素となりつつあります。

こうした背景のもと、SBTiは、従来のエネルギー・産業起源排出とは別枠で管理するべきものとして「FLAG目標」を位置づけています。FLAG目標は、サプライチェーン全体を視野に入れた中長期的かつ構造的な対応を企業に求める点に特徴があり、特に原材料調達や生産の在り方が問われる分野です。 本コラムでは、FLAG目標の基本的な考え方から、SBTiにおける目標構造と選択ルート、さらにセクター別・コモディティー別のアプローチや求められる要件までを整理し、企業がFLAG目標にどのように向き合うべきかを解説します。

FLAG目標の内容・特徴とは

企業の温室効果ガスにおいて、近年FLAG関連の排出量が注目されています。それらの削減目標であるFLAG目標は、従来のエネルギー起源排出とは異なる排出構造を持つ分野を対象としており、排出削減を技術的改善だけで完結させることが難しい点に特徴があります。そのため、サプライチェーン全体を視野に入れた中長期的かつ構造的な対応が求められます。

FLAGとは

FLAGとは、Forest(森林)、Land(土地利用)、Agriculture(農業)の頭文字を取った概念で、森林減少や土地利用転換、農業・畜産活動に起因する温室効果ガス排出を指します。これらの排出は、化石燃料の燃焼によるCO₂排出とは異なり、自然資本の改変や生物学的プロセスと密接に関係している点が特徴です。 特に森林伐採や泥炭地開発は、長期間にわたり蓄積されてきた炭素を短期間で大気中に放出するだけでなく、将来的な炭素吸収能力そのものを低下させます。このため、FLAG排出量は気候変動への影響が大きい領域として位置づけられています。

SBTi目標の構造・選択ルート

SBTiにおけるFLAG目標は、従来のエネルギー・産業起源排出を対象とする目標に追加して設定される目標として位置づけられています。企業は、これまで設定してきたエネルギー/産業目標(Energy/Industry Target)に加え、森林・土地利用・農業に由来する排出を対象としたFLAG目標を別枠で設定することが求められます。

エネルギー/産業目標は、現在のSBTi方法論に基づき、燃料の使用や電力消費、産業プロセスなど、エネルギー起源および産業起源の排出を対象としています。一方で、土地利用や農業に由来する排出はこの枠組みでは十分にカバーされないため、SBTiでは新たにFLAG方法論を導入し、これらの排出を独立して管理する構造を採用しています。

このように、SBTiでは排出の性質に応じて、エネルギー/産業起源排出とFLAG排出を並列的かつ補完的に管理する二層構造を構築しています。企業は、両方の目標を組み合わせることで、自社の温室効果ガス排出全体を包括的に捉えることが可能となります。

FLAG目標の設定にあたっては、企業の事業特性やサプライチェーン上の立ち位置に応じて、主に二つの選択ルートが用意されています。

一つは需要側事業者向けのルートであり、原材料や農林産物を調達し、それらを製品やサービスとして利用・販売する企業を主な対象としています。このルートでは、自社の直接排出よりも、調達段階における森林減少や農業・畜産由来排出への関与が大きく、持続可能な調達方針の策定やサプライヤーとのエンゲージメントが重視されます。

目標内容としては対象FLAG排出量の総量削減を目指す目標です。

もう一つは、供給側事業者向けのルートで、農産物、畜産物、木材などを生産・供給する立場にある企業を対象としています。このルートでは、生産プロセスそのものにおける排出削減が中心となり、農業慣行の改善、土地利用管理、森林保全といった直接的な取り組みが求められます。目標内容としてはコモディティの原単位排出量の削減を目指す目標です。

SBTiがこのように構造と選択ルートを明確に分けている背景には、FLAG排出量がサプライチェーンのどの段階で発生しているかによって、管理方法や目標設定の考え方が大きく異なるという特性があります。企業は、自社がエネルギー/産業目標とFLAG目標の双方をどのように組み合わせ、どのルートでFLAG目標を設定すべきかを整理した上で、SBTi目標全体を構築することが求められます。

FLAG目標の特徴

FLAG目標の最大の特徴は、従来の非FLAG目標とは切り離して設定される点にあります。SBTiでは、エネルギー起源排出を対象とするScope1~3の目標とは別に、森林・土地利用・農業に由来する排出を独立して算定・管理・削減することを求めています。これは、FLAG排出量が排出メカニズムや削減手段の点で本質的に異なるためです。 また、FLAG排出目標には、生物起源の排出及び除去量が含まれています。森林伐採や土地利用転換による排出だけでなく、森林の保全や農地管理改善による炭素除去も考慮対象となる点が特徴です。排出と吸収の両面を捉えることで、自然資本と気候変動対策を統合的に扱う枠組みとなっています。

FLAG目標におけるアプローチ

FLAG目標への対応では、排出削減を単一の施策で達成するのではなく、サプライチェーン全体を視野に入れた複合的なアプローチが重視されます。森林減少の回避、持続可能な土地利用、農業慣行の改善といった取り組みを組み合わせることで、実質的な排出削減と炭素除去の両立を図ることが求められます。

このアプローチの特徴は、排出の発生源そのものに働きかける点にあります。エネルギー排出原と異なり、FLAG排出量は調達先や生産方法、土地利用の在り方と密接に結びついているため、企業単独での対応には限界があります。そのため、サプライヤーとの協働や調達方針の見直し、トレーサビリティの強化など、サプライチェーン全体を巻き込んだ対応が不可欠になります。

また、FLAG目標は短期的な排出量(総量・原単位)の削減目標ではなく、中長期的な構造転換を促す設計となっています。特に、2025年末までの森林減少根絶を求める宣言要件は、将来の目標達成を待つのではなく、早期の方針転換と具体的な行動を企業に求めるものです。

FLAG目標を含むSBT認定を取得した企業には全ての排出範囲において森林減少を行わないことを公的に約束することが要求され、その宣言文言は、SBTの目標の文言とともにSBTiのウェブサイトに以下のように掲載されます。

「【企業名】は、森林減少に関連する主要な商品について、【遅くとも2025年12月31日まで】に森林減少を止めることを約束します。」

これにより、FLAG目標は単なる排出削減目標にとどまらず、企業の調達戦略や事業モデルそのものを見直す契機として位置づけられています。

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