CFP(カーボンフットプリント)で頻出する用語を、環境省・経産省のガイドラインを軸にわかりやすく整理。算定範囲、機能単位、PCR、システム境界など、会話が噛み合う言葉の土台を作ります。FP表示で信頼を得るための5つの基本原則(信頼性・ライフサイクル・比較可能性・透明性・地域性)を、実務目線で整理します。
この記事を読んで欲しい人
・取引先からPCRや算定条件を求められ、用語の整理を行いたい方
・社内の共通言語づくりや、開示・社外説明の整合を取りたい方
・これからCFPに触れる実務初心者の方
目次
導入
CFP(カーボンフットプリント)の話は、同じ言葉を使っているのに議論がすれ違うことが少なくありません。原因になりやすいのが、「どこまでを対象にするか(ライフサイクル範囲)」と「何を1単位とするか(機能単位)」の前提が揃っていないことです。そこで本コラムでは、環境省・経産省の「カーボンフットプリント ガイドライン」にある用語を中心に、まず“言葉の土台”を揃えるためのミニ用語集をまとめました。社内調整や取引先とのやり取りで、用語の誤解を減らす手がかりとして活用してください。
1.まずは基本:CFPとライフサイクル範囲
CFP
- 定義:製品・サービスの原材料調達~廃棄・リサイクルまでのライフサイクルで排出されるGHGを、CO₂換算として示した数値、またはそれを表示する仕組み。
- 使いどころ:「どこで排出が大きいか」を見つけ、削減の優先順位をつけるものさしとして使われる。
Cradle to Gate
- 定義:ライフサイクルのうち、原材料調達~生産までを指す。
- 使いどころ:部品・素材など、次工程に渡す中間製品のCFPでよく出てくる
Cradle to Grave
- 定義:定義:原材料調達〜廃棄・リサイクルまでの全ステージを指す。
- 使いどころ:最終製品やサービスで「使用段階」「回収・処理」が効く場合に重要になる。をつけるものさしとして使われる。
2.排出量の共通言語
CO₂e
- 定義:温室効果ガス排出をCO₂排出量に換算したもの。
GHG(温室効果ガス)
- 定義:気候変動に影響を与える温室効果ガス。自然起因・人為起因を問わず、赤外線の特定波長の放射線を吸収及び放出するもの。
- ポイント:CO₂だけでなく、メタン等も対象になるため「CO₂e(CO₂換算)」で足し合わせる。
GWP(地球温暖化係数)
- 定義:各GHGの温室効果の強さを、CO₂に対する比で示した係数
- ポイント:どのGWP(どの評価期間)を使うかで結果が変わるため、開示時は前提の明記が大切。
LCA(ライフサイクルアセスメント)
- 定義:製品システムのライフサイクル全体での入力・出力・潜在的環境影響をまとめ、評価すること。
- ポイント:CFPは「気候変動(GHG)」に焦点を当てがちだが、LCAはより広い環境影響も扱える。
3・ルールと境界線
PCR
- 定義:製品カテゴリーに関するタイプⅢ環境宣言またはCFP宣言を作成するための規制・要求事項のまとまり。
- ポイント:他社製品と比較したい/される可能性がある領域ほど、PCRの存在が効いてくる。
製品別算定ルール
- 定義:製品カテゴリー/業種ごとに定められた、CFP算定の規則・要求事項・ガイドラインのまとまり。
- ポイント:取引先から算定条件を指定されるときに、ここが条件になりやすいポイント
オフセット
- 定義:製品システム」境界外でのGHG削減・吸収量で当該製品のCFPを相殺する仕組み(例:再エネ投資、省エネ、新規植林等)。ただしISO 14067:2018によるCFP算定ではオフセットは認められていない。
- ポイント:「削減した」のか「相殺した」のかが混同されやすいので、言葉を分けて説明するのが安全。
システム境界
- 定義:単位プロセスが当該製品システムの一部であることを規定する一連の基準。
- ポイント:「どこまで入れる/除く」を決める線引き。比較や社外開示で揉めやすいため、最初に合意しておくのがコツ。
4.「一個あたり」を決める
機能単位
- 定義:製品システムの性能を表す、定量化された参照単位。「1㎏」「1回使用」「1000回の配送」など、何を同じ土俵とみなすかを決める。
宣言単位
- 定義:基本的に中間製品で使われる。機能単位で表される機能を満たすために必要な製品システム内の製品量。
基準フロー
- 定義:機能単位で表される機能を満たすために必要な、製品システム内の製品の量。(最終製品の場合)
5.データの切り取り
単位プロセス
- 定義:ライフサイクル全体のインプット/アウトプットを定量化する段階での、定量化される最小要素。工程別・拠点別など、データをどの粒度で積むかの基本単位。
カットオフ基準
- 定義:調査から除外する物質・エネルギーフロー量、または単位プロセス/製品システムに関わる除外の要件・判断基準
- ポイント:完全網羅は現実的に難しいため、「どこまで省略してよいか」を透明にするための考え方。
検証
- 定義:過去データ・情報に関する記述を評価し、実質的に正しく基準に適合しているか判断するプロセス。
- ポイント:社外開示や調達要件に使う場合、第三者検証の有無が信頼性に直結する。
6.循環
リユース
- 定義:一旦使用された製品・部品・容器等を再使用すること。
- ポイント:「回収してもう一度使う」設計は、使用回数や回収率の前提でCFPが大きく変わる。
リサイクル
- 定義:一旦使用された製品・部品・容器等を、使用可能なものを作るための原材料として再び利用すること。
参考文献
カーボンフットプリントガイドライン(環境省)CFP20230703_001.pdf
カーボンフットプリント表示ガイド(環境省)CFP_hyoji_guide.pdf

