EcoVadisの「メダル」と「バッジ」は何が違うのか。評価基準・意味合い・併用可否・実務での使い分けを、調達・ESG対応の現場目線で解説します。EcoVadis評価を受ける企業担当者向けの内容です。
※最終更新日:2026年2月10日
・EcoVadis評価結果を顧客・取引先にどう説明すべきか悩んでいる方
・「なぜメダルではなくバッジなのか」を社内で説明する立場の方
・初回〜数回目のEcoVadis評価を受けているESG・調達・CSR担当者
・メダル取得に向けた現実的な改善ステップを整理したい方
導入
EcoVadisの評価結果を受け取ったとき、「今回はバッジでした」「あと少しでメダルです」と言われても、その違いを即座に説明できる担当者は意外と多くありません。
実務の現場では、「バッジ=メダル未満で評価が低い」「メダルがないと意味がない」といった誤解が、社内外のコミュニケーションを難しくしているケースをよく見かけます。
しかし実際には、メダルとバッジは優劣ではなく評価ロジック(相対評価か、到達・改善評価か)が異なる称号です。その違いを正しく理解することで、顧客への説明の仕方も、次の改善計画の立て方も大きく変わります。
本記事では、EcoVadisの公式基準を踏まえつつ、実務でどう受け止め、どう使い分けるべきかをガイドブック的に整理します。
※EcoVadisの評価基準や称号制度はアップデートされることがあります。本記事は執筆時点の公式公開情報に基づいて整理しています。
EcoVadisにおける「メダル」と「バッジ」の基本的な位置づけ
EcoVadisのメダルとバッジは、どちらも評価結果を可視化する仕組みですが、評価の考え方そのものが異なります。まずは制度上の役割と思想を整理します。
・メダルは「同業他社との相対評価」に基づく称号
・バッジは「一定水準への到達」や「短期間での改善」を示す称号
・両者は同時に付与されない(排他的)
・評価対象企業へのメッセージ性が異なる
メダルは「成績上位者」を示す相対評価の照合
EcoVadisのメダルは、評価を受けた同業・同規模企業群の中での順位(パーセンタイル)に基づいて付与されます。
プラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズの4段階があり、「上位何%に入っているか」が明確な基準です。
実務で重要なのは、スコアの絶対値が高くても、他社の水準が全体的に上がればメダルが取れないこともあるという点です。実際、「前年よりスコアは上がったのにメダルが取れなかった」という相談は珍しくありません。
これはメダルが「競争型の評価」であることを意味しています。
・メダルは「相対評価」で毎年変動し得る
・スコア改善=必ずメダル、ではない
・社外説明では「上位〇%」という表現が有効
バッジは「一定水準」や「改善姿勢」を評価する称号
一方、バッジはメダルに届かなかった企業の中で、一定以上のスコア水準や短期間での大きな改善を示した企業に付与されます。
バッジには主に「Committed」と「Fast Mover」があり、これは「一定のスコア水準への到達、または短期間での改善が確認された」という評価メッセージです。
特に初回〜2回目の評価企業にとっては、改善ストーリーを社内外に説明しやすい指標になります。
・バッジは「進捗や改善状況」を示す称号
・初期段階の企業にとって重要なマイルストーン
・社内説明では前向きな材料として活用しやすい
判断基準の違いを正しく理解する
メダルとバッジは、付与される基準が明確に異なります。数字だけでなく、評価ロジックを理解することが重要です。
・メダルはパーセンタイル基準
・テーマ別の最低点要件がある
・バッジはスコア水準や改善幅が基準
・360°Watchの影響も考慮される
メダルの判断基準:パーセンタイルと最低要件
メダルは、総合スコアがデータベース内で
・上位1%:プラチナ
・上位5%:ゴールド
・上位15%:シルバー
・上位35%:ブロンズ
といった形で決まります。
加えて、環境・労働&人権・倫理・持続可能な調達の各テーマで一定の最低点要件が設定されています。
つまり、総合点が高くても一部テーマが弱いとメダルを逃すことがある点は、実務上の重要な注意点です。
・総合点だけでなくテーマ別点数を必ず確認
・弱点テーマがメダル取得のボトルネックになりやすい
・改善計画はテーマ横断で考える
バッジの判定基準:水準到達と改善幅
バッジの代表例は以下の通りです。
・Committed:総合スコア45点以上(ただしメダル基準未達の場合)
・Fast Mover:総合34〜44点かつ、18か月以内に6点以上改善
ここで重要なのは、他社との順位は直接問われない点です。
「前回よりどれだけ改善したか」が評価されるため、初回評価や改善途上の企業にとって現実的な目標になります。
・初期段階ではFast Moverが現実的目標
・改善幅を意識した施策設計が重要
・スコア推移を社内共有すると納得感が高まる
メダルとバッジを両方取得できない理由
「メダルもバッジも両方もらえるのか?」という質問はよくありますが、答えはNOです。その理由を整理します。
・メダルとバッジは排他的
・評価メッセージが重複するため
・メダル取得企業はバッジ対象外
評価メッセージの重複を避ける設計
EcoVadisでは、メダルを取得した企業にはバッジは付与されません。
これは「上位層」と「改善・努力層」という評価メッセージを明確に分けるためです。
実務的には、「メダルが取れた=すでに一定水準を超えている」という位置づけになります。
・メダル取得後は、バッジの有無ではなく「どのテーマをどう改善してきたか」を説明軸にする
・バッジは過渡期の評価指標と理解する
社外説明で混乱を生まないための配慮
もしメダルとバッジが併存すると、「どちらが重要なのか」が分かりにくくなります。
EcoVadisはあえて排他的にすることで、評価結果の読み取りやすさを優先しています。
・顧客説明では「今はどのフェーズか」を示す
・称号より背景説明が重要
実務での活用方法:社外向けと社内向け
メダルとバッジは使う場面によって価値が変わります。社外と社内での活用方法を整理します。
・社外:調達・RFPでの活用
・社内:目標設定と改善管理
・フェーズごとに意味合いが変わる
顧客・取引先向けの活用
メダルは「上位〇%」という分かりやすさがあり、調達条件やREPで評価されやすい称号です。
一方、バッジは「改善途上だが前向きに取り組んでいる」ことを示す材料になります。
・メダル:競争優位性の訴求
・バッジ:改善姿勢の説明
社内での目標管理への活用
社内では、メダルは「次のランクを目指す目標」に、バッジは「基盤整備の進捗確認」に活用することができます。
特に経営層への説明では、バッジがあることで改善の方向性を説明しやすくなります。
・スコア推移を可視化する
・称号を”通過点”として扱う
自社はどちらを目指すべきか?の考え方
最後に、「自社は今、メダルとバッジのどちらを現実的に目指すべきか」を整理します。
・スコア水準と改善余地で判断
・初回評価はバッジが現実的
・中長期でメダルを目指す設計
スコア水準別の現実的な目標設定
例えば総合42点の場合、前回からの改善幅が大きければ短期的にはFast Moverバッジが現実的な目標になります。その後、45点以上に到達すればCommittedバッジ、さらに評価年・業界内で上位水準に入ればブロンズメダルを目指す、という段階設計が考えられます。
・無理にメダルを狙わない
・改善計画と称号を連動させる
称号よりも「説明できるストーリー」が重要
最終的に重要なのは、なぜその評価なのかを説明できることです。
メダルでもバッジでも、背景を語ればければ評価は伝わりません。
・数字+取り組み内容をセットで説明
・次のアクションを必ず示す
参考文献

