環境省の環境表示ガイドラインは3月改定予定。改定要旨(案)の「5つの基本項目」(曖昧表現の回避、説明文、ライフサイクル、根拠へのアクセス、比較主張)を実務目線で解説します。
最終更新日:2026年3月16日
・パッケージ/EC/広告で「エコ」「環境にやさしい」「CO2削減」などの環境訴求を行っている(または予定の)広報・マーケ担当者
・環境表示の説明文(対象範囲・条件)をどう付ければ誤解が減るか知りたい商品企画・制作担当者
・「根拠データ」「評価方法」「根拠ページへの導線(QR/URL)」の整備を進めたいサステナ・品質保証担当者
・「従来比○%削減」など比較主張を安全に出すための考え方を押さえたい担当者
・表示リスク(誤認・指摘・炎上)を減らし、社内のチェック観点を揃えたい法務・コンプラ担当者
導入
環境配慮を伝える言葉は増え続けていますが、表現が強いほど、受け手は「どこまで本当なのか」「条件はあるのか」を気にするようになっています。こうした状況を踏まえ、環境省は環境表示ガイドラインの改定を進めており、その方向性は改定要旨(案)に整理されています。なかでも企業が最初に押さえるべき軸が、環境表示の良し悪しを判断するための「5つの基本項目」です。本コラムでは、この5項目に絞って、何が求められているのかを読み解きます。
改定要旨では、環境表示の方向性を次の5つに集約しています。

出典:環境表示ガイドラインの改訂要旨(案)について2025年12月(環境省)000364903.pdf
まず1つ目は「あいまいな表現や環境主張は行わないこと」です。
これは、印象だけで、良さそうに見せる言い方を避けるということです。たとえば、「地球にやさしい」「エコ」だけでは、何がどう良いのか説明できません。読者が意味を補完してしまうほど、誤解も炎上も起きやすくなります。環境表示は、便利な抽象語から始めるのではなく、伝えられる事実(再生材の使用、削減量、対象範囲など)から組み立てるのが前提になります。
2つ目は「環境主張の内容に説明文を付けること」です。
環境表示は、短い言葉ほど誤解を生みます。そのため主張のすぐ近くに、最小限の説明を添えることが求められます。ここでいう説明は、長い文章ではありません。「対象範囲はどこか」「成立条件は何か」をひとこと入れるだけでも誤解は減ります。例えば「再生材を使用」ならどの部材に何%か、「リサイクル可能」ならどの地域で・どんな分別が必要かといった情報が説明文の核になります。
3つ目は「製品のライフサイクル全体を考慮する(プラス面だけでなく重大なマイナスの影響はないか)」です。
これは、良い面だけを切り取って全体が良いように見せないという考え方です。たとえば一部の改善(再生材使用)を訴求しても、別の重大な負の影響があるなら、受け手は「都合の良い部分だけを見せている」と感じやすくなります。環境表示はプラス面を伝えると同時に、全体として著しいマイナスがないかを確認する姿勢が前提になります。
4つ目は「環境主張の検証に必要なデータおよび評価方法が提供可能で、情報にアクセスが可能であること」です。
意味することは「行ったなら説明できる」「求められたら根拠を出せる」状態にしておくことです。根拠を社内で持っているだけではなく、必要に応じて相手がたどれる形にすることも含まれます。パッケージ面積が足りないなら、QRで根拠ページへ誘導する、Webなら主張の近くに根拠の説明ページを置く。こうしたアクセス設計までが環境表示の一部になります。
最後の5つ目は「製品又は工程における比較主張はLCA主張、数値等により適切になされていること」です。
「従来比〇%削減」「業界最高水準」のような比較は、読み手に強い印象を与えます。その分、比較対象が何か、算定範囲はどこか、条件は揃っているかが重要になります。比較の前提が曖昧なままだと、誤解が生まれやすく、指摘されたときに説明が崩れます。比較主張は「数字を書けば強い」のではなく、「数字を支える前提を揃えて初めて強い」という扱いに変えていく必要があります。
この5つの基本項目は、環境表示を「うまく見せる技術」から「誤解させない設計」へ寄せるための軸です。裏を返せば、環境訴求を続ける企業ほど、表示を短くする工夫と、根拠へアクセスさせる工夫の両方が必要になります。まずは自社の表示を見直し、「曖昧な言い切りになっていないか」「説明文が足りているか」「根拠へ辿れるか」を、この5項目の順番で点検するだけでも、改定への備えになります。

