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SBT短期目標・長期目標・ネットゼロ目標の違いを実務目線で整理する

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SBTの短期目標・長期目標・ネットゼロ目標の違いを、時間軸・削減水準・実務対応の観点から解説します。これからSBT認定を検討する企業や、社内説明に悩む担当者向けの記事です。

この記事を読んで欲しい人

SBT認定を検討している企業のサステナビリティ担当者
・短期・長期・ネットゼロの違いを社内で説明する必要がある方
・2030年・2050年目標の整理に悩んでいる経営企画・ESG担当者

目次

導入

SBT(Science Based Targets)に取り組もうとすると、必ずと言っていいほど立ち止まるのが「短期目標・長期目標・ネットゼロ目標って、結局どう違うのか?」という点です。
私自身、最初に資料を読み込んだときは「年限が違うだけでは?」と単純に考えていました。しかし実務で設計を進めるにつれ、これらは単なる期間違いではなく、役割も、使いどころも、社内での意味合いもまったく異なる目標だと実感しました。
本記事では、SBTiの公式基準を踏まえつつ、実務担当者の目線で、3つの目標の違いと関係性を整理します。この記事を読むことで、「自社では何をどこまで決めればいいのか」「なぜ短期と長期を両方考える必要があるのか」が腹落ちするはずです。

SBTにおける3つの目標の全体像と位置づけ

概要

SBTの短期目標・長期目標・ネットゼロ目標は、時間軸と削減レベルが異なる階層的な構造を持っています。まずは全体像を押さえることが、混乱を防ぐ近道です。

主なポイント(要約/サマリー)

・短期目標:SBTiの企業目標の中核(5〜10年先の削減マイルストーン)
・長期目標:2050年以前ネットゼロ達成に向けた長期削減目標
・ネットゼロ目標:削減+中立化まで含めた全体戦略

「3つは別物」ではなく「一本のストーリー」

SBTの3つの目標は、横並びの選択肢ではありません。よくある誤解として、「まず短期、余裕が出たら長期、さらに進んだらネットゼロ」という段階論がありますが、実際には最初から一本のストーリーとして設計することが前提になっています。
短期目標は、2030年前後までにどれだけ削減を進めるかという現実的な行動計画のようなものです。一方、長期目標は2050年以前にどこまで排出を減らすかというゴール設定のイメージで、ネットゼロスタンダードの文脈で要求される構成要素です。そしてネットゼロ目標は、1.5度水準の短期目標と長期目標を設定し、到達時点の残余排出量を除去により中立化するという枠組みです。
実務上は、短期目標が経営計画と結びつき、長期目標が技術・投資戦略と結びつき、ネットゼロが企業の対外的な約束として機能します。

実務上のポイント

・3つは上下関係のある構造で、なかでも短期目標は必須
・ネットゼロ目標には、短期目標と長期目標の両方が不可欠
・最初から全体像を描いておく

短期目標(Near-term SBT)の役割と実務的な意味

概要

短期目標は、SBT認定の中核となる必須目標であり、実務に最も直結する要素です。

主なポイント(要約/サマリー)

・目標年は提出から5〜10年先
・削減スピードの確保が重視される
・経営KPIと連動しやすい

「今すぐ何をするか」を決める目標

短期目標の一番の特徴は、「今から何を変えるのか」を具体化する点にあります。多くの企業では2030年前後を目標年とし、Scope 1・2は1.5℃整合水準、Scope 3もWB2℃(2℃を十分に下回る)を最低水準とする削減率を設定します。
実務で感じるのは、SBTの短期目標があることで、設備更新や調達方針、サプライヤー対応が一気に現実味を帯びるということです。

実務上のポイント

・中期経営計画と必ず接続する
・Scope別の削減施策を具体化
・数値は「やや厳しめ」が後で効く

長期目標(Long-term SBT)が示す「到達点」

概要

長期目標は、ネットゼロを見据えた最終的な削減水準を示すゴールです。

主なポイント(要約/サマリー)

・目標年は2050年以前
・Scope 1・2・3合計で少なくとも90%以上の削減
・バックキャスト思考が前提

「どこまで減らしきるか」を決める

長期目標では、Scope 1〜3を合算して少なくとも90%削減することが求められます。この数字を初めて見たとき、「正直かなり厳しい」と感じる担当者は少なくありません。
しかし重要なのは、今すぐ90%減らすことではなく、「最終的にそこまで行く」と腹を括ることです。長期目標は、技術革新や事業構造転換を織り込んだバックキャストの起点になります。

実務上のポイント

・技術・投資戦略と連動させる
・Scope3を避けて通らない
・数値よりストーリーが重要

ネットゼロ目標が意味する「完成形」

概要

ネットゼロ目標は、削減と中立化を組み合わせ、実質排出量ゼロを達成する全体戦略です。

主なポイント(要約/サマリー)

・少なくとも90%以上削減+残余排出の中立化
・除去クレジットの扱いが鍵
・対外的な評価軸になりやすい

削減だけでは終わらない理由

ネットゼロでは、「削減できない排出が必ず残る」ことを前提に、その扱いまで含めて設計します。ここで重要なのが、オフセットではなく除去(removal)クレジットが基本になる点です。
実務上、ネットゼロ目標は投資家や取引先から最も注目されやすい一方、運用を誤るとグリーンウォッシュと批判されるリスクもあります。

実務上のポイント

・中立化は最後の手段
・クレジット品質を厳選
・説明責任を常に意識

3つの目標をどう設計し、どう使い分けるか

概要

最後に、3つの目標を実務でどう組み立て、社内外でどう使うかを整理します。

主なポイント(要約/サマリー)

・短期:経営・現場向け
・長期:戦略・投資向け
・ネットゼロ目標:対外発信向け

実務での使い分けイメージ

私の経験では、短期目標は現場での具体的な行動説明に、長期目標は経営層との戦略議論に、ネットゼロ目標は外部ステークホルダーへのコミットメントの説明に使用しやすいと感じています。
重要なのは、3つが矛盾せず、一本のストーリーとして語れることです。そこが揃って初めて、SBTは「使える目標」になります。

実務上のポイント

・3つを別資料にしない
・数値より一貫性
・社内説明用の図解を用意

参考文献

[1] The Corporate Net-Zero Standard – Science Based Targets Initiative https://sciencebasedtargets.org/net-zero

[2] SBT(Science Based Targets)について – 環境省

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