オンサイトPPAとオフサイトPPAの違いを、設置場所・料金構造・環境価値・適した企業像の観点から実務目線で解説。再エネ調達を検討する企業担当者向けのガイド記事です。
※本記事は、環境コンサルティング専門のウェイストボックスが、最新の算定基準をもとに実務的な観点で整理しています。
※この記事の監修者:株式会社ウェイストボックス 環境ソリューション第2事業部 部長/コンサルタント SBTi認定エキスパート 小島 恵
※最終更新日:2026年2月3日
・再エネ導入を検討しているが、PPAの違いが整理できていない方
・オンサイトPPAとオフサイトPPAのどちらを選ぶべきか悩んでいる方
・電気料金削減と脱炭素対応を同時に進めたい企業の実務担当者
導入
再生可能エネルギーの導入手法として、近年急速に注目を集めているのが「PPA(Power Purchase Agreement)」です。特に企業の脱炭素対応や電気料金高騰への対策として、オンサイトPPA・オフサイトPPAの導入を検討するケースが増えています。ただ、実際に検討を始めると「違いが分かりにくい」「自社にはどちらが合うのか判断できない」と感じる担当者は少なくありません。
本記事では、オンサイトPPAとオフサイトPPAの違いを、制度論だけでなく実務での使い分けという視点から整理します。読み終えるころには、自社の条件や目的に応じて、どちらのPPAが適しているのかを判断できるようになるはずです。
オンサイトPPAとオフサイトPPAの基本的な違い
オンサイトPPAとオフサイトPPAの最大の違いは「発電設備の設置場所」と「電力の供給経路」にあります。この違いが、コスト構造や導入ハードル、活用シーンに大きく影響します。
・オンサイトPPA:需要家の敷地内に発電設備を設置
・オフサイトPPA:敷地外の発電所から電力を調達
・供給経路と契約形態が根本的に異なる
オンサイトPPAとは何か
オンサイトPPAとは、需要家の屋根や駐車場、遊休地など敷地内に、PPA事業者が太陽光発電を中心とした再生可能エネルギー発電設備を設置し、その電力を直接購入する仕組みです。需要家は初期投資を行わず、発電した電気を使った分だけ支払います。
実務で検討する際に感じるメリットは、「仕組みがシンプルで分かりやすい」点です。発電した電気をその場で使うため、電気の流れをイメージしやすく、社内説明もしやすい傾向があります。余剰電力が出た場合は、PPA事業者が売電するケースが一般的です。
・敷地内に設置スペースが必須
・電力を“その場で使う”シンプルなモデル
・社内説明・合意形成が比較的しやすい
オフサイトPPAとは何か
オフサイトPPAは、工場やオフィスから離れた敷地外・遠隔地にある発電所の電力を、送配電網を通じて調達する仕組みです。
フィジカルPPAでは、小売電気事業者を介して再エネ電力が供給されます。一方、バーチャルPPAでは電力の物理的な供給は行われず、環境価値や価格差を取引するスキームとなります。
実務で触れてみると、「自由度は高いが、仕組みは複雑」という印象を持たれがちです。その一方で、大規模な再エネ調達や複数拠点への一括対応が可能という強みがあります。
・自社敷地に発電設備は不要
・供給スキームがやや複雑
・大規模・複数拠点を持つ企業向けに強い(一括調達が可能)
供給経路と料金構造の違い
PPAの種類によって、電力の供給経路と料金構造は大きく異なります。特に「系統コストの有無」が、電気料金への影響を左右します。
・オンサイトPPAは系統コスト(託送料、再エネ賦課金、需給調整費)が不要
・オフサイトPPAは系統コスト(託送料、再エネ賦課金、需給調整費)が発生
・削減効果と価格安定効果の違い
オンサイトPPAのコスト構造
オンサイトPPAは、敷地内で発電した電力を直接消費するため、原則として託送料金や再エネ賦課金といった系統コストが発生しません。その結果、電気料金の削減効果が比較的大きくなりやすいのが特徴です。
実務では「とにかく電気代を下げたい」という目的が明確な場合、オンサイトPPAが有力な選択肢になります。
・系統コスト(託送料、再エネ賦課金、需給調整費)がかからない
・電気料金削減効果が出やすい
・削減額をKPIにしやすい
オフサイトPPAのコスト構造
オフサイトPPAでは、送配電網を利用するため、託送料金や再エネ賦課金、需給調整費などが上乗せされます。系統コストが上乗せされる分、短期的な電気料金削減効果はオンサイトPPAより小さくなるケースが多いのが実情です。
一方で、長期固定単価による価格安定効果は大きく、将来の電力価格変動リスクを抑えたい企業には魅力があります。
・系統コストが発生する
・削減より「価格安定」が主目的
・中長期の経営視点で評価が必要
設置条件と適した企業像の違い
オンサイトPPA・オフサイトPPAは、それぞれ向いている企業像が異なります。自社の物理条件と事業規模を冷静に見極めることが重要です。
・設置スペースの有無が大きな分かれ目
・需要規模と拠点数で向き不向きが決まる
オンサイトPPAに向く企業
オンサイトPPAは、屋根面積や遊休地が十分にあり、日中の電力使用量が多い工場や倉庫と相性が良いです。需要と発電量のバランスが取れているほど、効果を最大化できます。
・屋根・土地の有効活用が前提
・日中稼働の多い拠点向け
・単一拠点での導入が中心
オフサイトPPAに向く企業
都市部のオフィスなど、敷地内に設置スペースがない企業にはオフサイトPPAが現実的です。また、複数拠点や大規模需要をまとめて再エネ化したい企業にも向いています。
・敷地条件に左右されない
・複数拠点を一括管理可能 ・RE100対応などに有効
環境価値・スキームの違い
PPAは「電気」だけでなく「環境価値」の扱い方にも違いがあります。脱炭素目標との整合性を確認することが欠かせません。
・オンサイトPPAは基本フィジカルのみ
・オフサイトPPAはフィジカル/バーチャルが選択可能
オンサイトPPAの環境価値
オンサイトPPAは、その場で消費する再エネ電力を調達するフィジカルなモデルです。Scope2排出削減やRE100対応の一手段として活用されることが多く、制度要件を確認したうえで導入されるケースが一般的です。
・環境価値が直感的
・社内外への説明が容易
オフサイトPPAの環境価値
オフサイトPPAでは、フィジカルPPAに加え、環境価値のみを取引するバーチャルPPAがあります。金融的なスキーム要素が強く、理解には一定の整理が必要です。
・環境価値を柔軟に確保可能
・契約設計・説明に注意が必要
オンサイトPPAとオフサイトPPAの選び方
最適なPPAは企業ごとに異なります。重要なのは「何を目的に導入するのか」を明確にすることです。
・削減重視か、安定重視か
・スペースと需要規模の整理 ・中長期視点での判断
実務での判断軸
私自身、複数のPPA検討に関わる中で感じるのは、「万能な正解はない」ということです。実際の検討では、「再エネ比率を上げたいのか」「電気代の見え方を安定させたいのか」で、社内の評価軸が大きく変わる点に注意が必要です。短期の電気代削減を狙うならオンサイトPPA、長期の脱炭素戦略ならオフサイトPPA、といった具合に目的で切り分けるのも現実的です。
・目的を最初に言語化する
・定量・定性の両面で評価
導入検討時の注意点
PPAは長期契約になるケースが多く、途中変更が難しいのが実情です。将来の拠点統廃合や需要変動も見据えた検討が欠かせません。
・長期契約リスクを理解
・将来計画との整合を確認

