環境表示(環境ラベル・エコマーク・サステナ訴求)は本当に購買に効くのか?環境省資料の調査結果をもとに、消費者の認知・不信(グリーンウォッシュ経験)・購買行動・情報入手経路の実態を整理し、企業が環境表示で信頼を得るための実務ポイントを解説します。
最終更新日:2026年3月16日
・ 商品パッケージやECで「環境に配慮」「エコ」「再生材」などの表示を検討している広報・マーケ担当者
・環境ラベル/認証マークを導入したいが、効果や注意点を把握したい方
・「グリーンウォッシュ」と言われないために、生活者の受け止め方をデータで理解したい法務・コンプラ・品質保証担当者
・店頭POPやFAQなど、環境情報の「伝え方設計」を作りたい方
導入
環境表示は、企業の取り組みを伝えるための強い武器です。一方で、消費者がその表示をどう理解し、何を根拠に信じ、どこで情報を拾っているのかを外すと、良かれと思った訴求が「盛っている」「分かりにくい」と感じ取られやすくなります。そこで本コラムでは、環境省資料にある「環境表示に関する消費者の実態」パートをもとに、生活者側の現状を整理し、企業が押さえるべきポイントを読み解きます。
グリーンウォッシュは知られていないのに経験は多い
調査では、「グリーンウォッシュ/グリーンウォッシング」という言葉について、「確かに知っている」5.7%、「見聞きしたことがある」20.3%、「知らない」74.0%という結果が示されています。
一方で「広告やHP、ポスター、SNSなどがグリーンウォッシュと感じたこと」については、「よくある」9.3%、「時々ある」31.7%とされ、資料上でも「約4割がグリーンウォッシュを経験している」と整理されています。
この結果から読み取れることとして、言葉としての「グリーンウォッシュ」は広く浸透していないが、「なんか怪しい」「言っていることが信用できない」という体験は相当数あるということです。つまり企業側は、「用語の認知が低い=炎上しにくい」ではなく、逆に違和感をもたれた瞬間に、別の言葉で不信が拡散するとも考えられます。環境表示は専門用語を避けるよりも、根拠・条件・範囲を短く添えて誤解の余地を減らすほうが信頼の面で効果的といえます。
環境表示は購買に効くが、強烈ではない
消費者庁の調査として、「環境に配慮されたマークのある食品・商品を選ぶ」23.9%というデータが示されています。
この数字は希望でもあり、警告でもあります。環境表示は「ゼロ効果」ではありません。ただし、全員がそれで選ぶわけでもありません。そのため、環境表示を「魔法の一言」にするのではなく、購買の後押し材料として設計するのが現実的でしょう。たとえば「再生材〇%(対象:〇〇部分)」のように具体化できる表示は、気にする層には刺さり、気にしない層にも説明可能な誠実さとして効くでしょう。逆に「地球にやさしい」のような抽象表現は、購買を押す力が弱いだけでなく、不信の火種にもなり得ます。
消費者が環境情報を得る場所は「パッケージ」と「店頭」
環境に配慮された商品・サービスを知ったきっかけとして、「商品パッケージ」76.6%、「テレビや動画」44.5%、「環境ラベル」37.0%などが示されています。
また、エシカル消費につながる商品・サービスの確認方法として、「店頭ポップ・商品紹介」41.4%、「認証ラベル」19.2%、「店やブランド」16.2%などが示されています。ここは、環境表示の勝ち筋がはっきり出ていると言っていいでしょう。消費者が環境情報を拾う主戦場は、ニュース記事でもIR資料でもなく、パッケージと店頭です。そのため、効果的な訴求方法としては、以下が考えられます。
- パッケージで一言(短く・誤解がない):例)「再生材〇%(対象:ボトル)」のように、範囲を固定して言い切る。
- 店頭POP/QR先で補足:条件や根拠を読める場所に置く
パッケージやPOPのインパクトは確かに大事ですが、そのインパクトと説明可能性を両立することが消費者に環境情報を訴求するためには大切になります。
まとめ
事実として、(1)グリーンウォッシュの言葉は広く知られていない一方で、(2)グリーンウォッシュだと感じた経験は約4割、(3)環境配慮マークで商品を選ぶ行動は約2割強、(4)環境情報の主な入手先はパッケージと店頭——という実態が示されています。
つまり、企業が環境表示で信頼を積むには、派手なコピーよりも、
- 「何が(対象)」「どの範囲で」「どんな条件で」を短く示す
- パッケージ→POP/QRで補足する導線を作る
- 比較・数値・リサイクル等は根拠と前提を社内で即提示できる形にする
この3点を固めるのが一番効果的であると言えるのではないでしょうか。
参考資料
環境表示を巡る最近の動向について(環境省)2025年9月000345668.pdf

