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CFP入門|算定から表示・開示まで、製品単位で温室効果ガスを捉える基本ガイド

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製品にも「履歴書」があります──。原材料がどこから来て、どんな工程を経て、最後にどう処理されるか。その来歴を、CO₂を含む温室効果ガスの排出量という共通単位で記録したものがCFP(Carbon Footprint of Product)です。履歴書と違うのは、書き手の都合で経歴を盛れば「グリーンウォッシュ」と呼ばれかねない、という点です。本記事では、CFPの定義、ライフサイクル境界の選び方、算定の基本構造、データ取得が困難な場合の実務、表示・開示の最小要件、社内運用の設計までを6章で整理します。CFPに初めて取り組む方が「全体像をつかんで動き出せる」状態を目指す入門ガイドです。

監修者:株式会社ウェイストボックス 環境ソリューション第1事業部 部長 木塚晴久(CFP・LCA・EPDの実務を担当)

最終更新日:2026年5月8日

この記事を読んで欲しい人

  • 初めてCFP算定に取り組む推進担当者・サステナビリティ推進部門の方
  • 調達・製造・物流など、活動量データの収集に関わる部門の方
  • 取引先からCFPの提示を求められ、対応の出発点を整理したい営業・調達担当者
  • 製品にCFPを表示したいマーケティング・広報・ブランド担当者
  • サプライヤーやOEMと連携し、製品単位の排出量管理を進めたい方

目次

  1. CFPとは何か|製品ライフサイクルでの温室効果ガス総量を見える化する指標
  2. ライフサイクル境界の選び方|Cradle-to-GraveとCradle-to-Gateの使い分け
  3. 算定の基本構造|ライフサイクルフロー図と活動量×排出係数の式
  4. データが取れない時の実務|一次データ・二次データ・カットオフ・シナリオ
  5. CFP表示・開示の入門|信頼性を担保する最小情報セット
  6. 社内で回すための運用設計|更新頻度・承認フロー・サプライヤー連携
  7. よくある質問
  8. まとめ
  9. 参考資料
目次

1. CFPとは何か|製品ライフサイクルでの温室効果ガス総量を見える化する指標

CFP(Carbon Footprint of Product)とは、特定の製品やサービスが、原材料の調達・製造・流通・使用・廃棄に至るライフサイクル全体で排出する温室効果ガス(GHG)の総量を、CO₂相当量(CO₂eq)で表現した指標です。CO₂だけでなくメタン(CH₄)や一酸化二窒素(N₂O)などのガスも、温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)を使ってCO₂相当量に換算し、合算して一つの数値として扱う点が特徴になります。算定の方法論はISO 14067:2018で国際的に整備されており、日本国内では経済産業省・環境省カーボンフットプリント ガイドライン(2023年3月)とCFP実践ガイド(2025年3月版)が実務上の参照点になります。なお、日本では2026年3月に、ISO 14067:2018に対応する国家規格としてJIS Q 14067:2026が制定されており、国内実務ではISO 14067とあわせて参照対象になります。

図1:CFPの概念。原材料調達から廃棄・リサイクルまでのライフサイクル全体で排出される温室効果ガスを、CO₂相当量で集約した指標がCFPである。出典:ISO 14067:2018、経済産業省・環境省「カーボンフットプリント ガイドライン」(2023年3月)を基に作成

CFPを算定して見える化することには、3つの実務的な意義があります。第一に、ライフサイクルのどの段階で排出が大きいかが分かるため、改善策の優先順位が立てやすくなります。第二に、社内の調達・製造・マーケティング、社外の取引先・顧客と「同じ前提」で議論できる共通言語になります。第三に、Scope 3カテゴリ1(購入した製品・サービス)の精度向上を目的にCFP提示を求める購入企業が増えており、サプライヤー側にとってCFPは取引上のコミュニケーション・ツールにもなります。

ただし、CFPは数字だけが独り歩きすると誤解を生みやすい指標でもあります。算定範囲や前提条件が異なれば、同じ製品でも値が変わり得るためです。だからこそ、CFPは数値を生み出すこと自体がゴールではなく、どの範囲で、どんなデータを使い、どう解釈すべきかを含めて整えることが基本になります。CFPと、組織単位の排出量算定であるScope 1〜3との位置付けの違いについては、媒体内記事「企業の排出量算定(Scope1〜3)とCFPの違い」で整理しています。

2. ライフサイクル境界の選び方|Cradle-to-GraveとCradle-to-Gateの使い分け

CFP算定の最初の判断は、どこからどこまでをライフサイクル境界に含めるかです。経済産業省・環境省カーボンフットプリント ガイドライン(2023年3月)は、最終製品はCradle-to-Grave(原材料調達から廃棄・リサイクルまで)、中間製品はCradle-to-Gate(原材料調達から工場出荷まで)を基本としつつ、CFPを提供する相手や算定の目的を考慮して選択することを認めています(同ガイドライン第3章)。

図2:CFPのライフサイクル境界の選択肢。最終製品ではCradle-to-Grave、中間製品ではCradle-to-Gateが基本。Gate-to-Gateは特定の生産工程に絞った改善検討等で用いる狭い境界となる。出典:経済産業省・環境省「カーボンフットプリント ガイドライン」(2023年3月)を基に作成

最終製品とは、最終消費者に届く完成品(家電、自動車、食品、衣料等)を指します。これらは使用段階と廃棄段階での排出が無視できないため、Cradle-to-Graveで全段階を捉えるのが基本です。一方、中間製品とは、他社の製造工程に投入されて加工される素材・部品(鋼材、樹脂、半導体等)を指します。中間製品は、その後の加工段階や廃棄段階の排出量を素材メーカー側が一意に決められないため、Cradle-to-Gate(工場出荷時点)までを算定し、購入企業側が自社の使用条件で残りの段階を加える運用が一般的になります。

ライフサイクル境界の選び方で実務的に注意すべきは、特定の段階を除外する場合は、その旨と理由を明示する必要があるという点です。たとえば「使用段階のデータが現時点で取得困難なため除外」「廃棄段階は地域差が大きいため別途記載」のように、除外箇所と判断理由を算定報告書に残しておくと、後の更新や対外説明で齟齬を防げます。Cradle-to-Graveの考え方そのものについては、媒体内の関連記事「Cradle to Graveという視点」で整理しています。

なお、ライフサイクル境界の選択は比較主張にも直結します。自社の旧モデルがCradle-to-Grave、新モデルがCradle-to-Gateで算定されている場合、両者を直接比較することはできません。比較表示の前提条件と禁止事項については、媒体内記事「CFPの比較でやってよいこと・ダメなこと」で詳述しています。

3. 算定の基本構造|ライフサイクルフロー図と活動量×排出係数の式

CFPの算定は、ライフサイクルフロー図を作成し、各プロセスについて「活動量×排出係数」で排出量を計算し、最後に合算する流れで進めます。活動量とは、現場が持っているデータ──原材料の使用量、電力使用量、輸送距離や重量、廃棄物の発生量──です。排出係数とは、活動量1単位あたりの温室効果ガス排出量で、データベースや公的資料で公開されている値を使います。

図3:CFP算定の基本構造。各プロセスの活動量に排出係数を乗じ、ライフサイクル全体で合算してCFPを得る。出典:経済産業省・環境省「CFP実践ガイド」(2025年3月版)を基に作成

算定の出発点は、ライフサイクルフロー図の作成です。ライフサイクル段階ごとに、どんなプロセスがあり、何が投入され、何が産出されるかを並べていきます。ここで漏れや重複を減らしておくと、後工程の活動量収集と排出係数選定が安定します。次に、各プロセスの活動量を収集し、適切な排出係数を当てて、プロセスごとの排出量を計算します。最後に全プロセスの排出量を合算して、製品1単位あたりのCFPを得ます。

算定単位の選び方は、適用する開示枠組みと算定の目的によって決まります。「製品1個あたり」「製品1kgあたり」のような数量・量の単位は宣言単位(declared unit)と呼ばれ、製品の機能や性能を考慮した「20㎡を5年間覆えるペンキ1缶あたり」のような単位は機能単位(functional unit)と呼ばれます。「最終製品なら機能単位、中間製品なら宣言単位」という機械的な対応は誤りで、実際には算定の目的によって使い分けます。たとえばCradle-to-Gateで切り出す場合は基本的に宣言単位が用いられる一方、最終製品でも宣言単位を採るケースがあります。算定単位の選定は表示・比較表現とも関係するため、本記事では概念整理にとどめ、業界・カテゴリーごとの算定ルールの詳細(製品別算定ルール等)は本記事の射程外とします。

4. データが取れない時の実務|一次データ・二次データ・カットオフ・シナリオ

CFP算定で必ずと言ってよいほどぶつかる壁が「データが取れない」問題です。ここでは、一次データと二次データの位置づけ、カットオフ・シナリオの考え方、そして「都合の悪い部分を消す」のではなく「仮定と除外を記録する」というデータ取扱いの基本姿勢を整理します。

一次データとは、対象プロセスの実測値──自社工場の電力使用量メーター値、サプライヤーから提供された原材料1kgあたりの排出量データ──を指します。二次データとは、IDEAやMiLCA、ecoinventなどのライフサイクルインベントリ・データベースに収録された平均値、業界団体や公的資料が公開する代表値を指します。一次データは対象プロセスの実態を反映しやすい一方、測定範囲・期間・配分方法・サプライヤー回答の品質によって信頼性が左右され、取得コストも大きくなります。二次データは取得が容易な反面、自社の実態とずれる可能性があります。実務では、影響が大きいプロセス(ホットスポット)から優先的に一次データに置き換え、影響が小さいプロセスは二次データで充てる、という段階的な高度化が現実解になります。Scope 3カテゴリ1での一次データ活用については、媒体内記事「一次データを活用したScope3排出量算定の実務手順ガイド」も参考になります。

カットオフは、影響が小さいプロセスを一定基準で除外する考え方です。経済産業省・環境省CFP実践ガイド(2025年3月版)は、カットオフを採用する場合は基準(質量比、エネルギー比、影響評価結果比などの何%以下)と除外したプロセスを明示することを求めています。基準を曖昧にしたまま「データが取れないから除外」と処理すると、表示時の透明性が損なわれます。

シナリオは、合理的な前提を置いてデータ不足を補う手法です。たとえば、製品の使用段階の電力消費は、地域の平均的な使用パターンに基づき推定する、廃棄段階の処理割合は環境省統計の処理シナリオに依拠する、といった具合に、根拠ある前提を採用します。シナリオを採用した場合は、その前提と参照した出典を算定報告書に明記する必要があります。

データ取扱いで最も重要なのは、「都合の悪い部分を消す」のではなく、「どこを仮定し、どこを除外したかを記録として残す」ことです。記録があれば、後からデータが取れたときに更新できますし、対外説明にも耐えやすくなります。CFPは「初回算定で完璧を目指す」のではなく、「回す形を作って段階的に精度を上げる」設計が、実務上の現実解です。

5. CFP表示・開示の入門|信頼性を担保する最小情報セット

CFPの価値は、算定して終わりではなく、情報を開示してはじめて成立します。製品にCFPを表示する場合、数値だけを掲示すると、受け手が「どこまで含めた数値なのか」「条件は何か」を判断できず、誤解につながります。表示の信頼性は「数字の大小」より「前提の透明性」で決まる場面が増えており、最小限の情報セットを揃えることが基本となります。

図4:CFP表示の最小情報セット。算定範囲・算定単位・データ品質・算定時点を併記することで、数値の独り歩きを防ぐ。出典:環境省・経済産業省「カーボンフットプリント表示ガイド」(2025年2月)を基に整理

環境省・経済産業省「カーボンフットプリント表示ガイド」(2025年2月)がCFPの結果とともに示す基本情報として挙げているのは、算定の単位(機能単位/宣言単位)、ライフサイクルステージ、算定報告書へのアクセス、(必要な場合の)説明文の4項目です(同ガイドp.10)。実務では、これに加えて対象製品(型番や仕様)、算定に用いた主なデータと排出係数の出典、データ不足時の取扱い(カットオフやシナリオの有無)、算定時点(いつのデータか)まで示しておくと、数値の独り歩きを防ぎやすくなります。これらを算定報告書としてまとめ、製品表示やWebサイト、QRコード等から辿れるようにしておくと、説明の手戻りも減らせます。なお、CFP結果のコミュニケーションに関する事項はISO 14067:2018の適用範囲外で、同規格はCFPの定量化と報告を扱います。コミュニケーションについてはISO 14026:2017や、国内では同表示ガイドが参照点になります。

CFP表示には、信頼性を確保するための5つの基本原則(信頼性・信用性/ライフサイクル/比較可能性/透明性/地域性)が示されており、環境省・経済産業省カーボンフットプリント表示ガイド(2025年2月)が日本国内の参照点になります。本記事では原則の存在を概観するに留め、各原則の実務的な意味と設計のポイントについては、媒体内記事「CFP表示の5つの基本原則」で詳述しています。

特に注意すべきなのは、CFP値の比較表示です。「他社製品より少ない」「業界最小」のような比較表現は、算定ルール・PCR・ライフサイクル境界が揃っていなければ成立しません。比較が成立する条件と、避けるべき比較表現の類型については、媒体内記事「CFPの比較でやってよいこと・ダメなこと」で整理しています。

国内では景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)の優良誤認規制、EUではECGT指令(Directive (EU) 2024/825)(採択2024年2月28日、各国国内法化期限2026年3月27日、適用開始2026年9月27日)など、環境訴求に関わる規制が国内外で強化されています。EU域内の消費者向けに環境訴求を行う日本企業は、加盟国での国内法化後にECGT指令の規制対象となり得るため、CFP表示を検討する段階から規制動向を視野に入れることが望まれます。

6. 社内で回すための運用設計|更新頻度・承認フロー・サプライヤー連携

CFPは「一度算定すれば終わり」ではなく、サプライヤー、製造条件、排出係数の更新に応じて変動します。継続して開示する以上、社内で回す運用を設計しておくことが不可欠です。

運用設計で押さえるべき要素は、更新頻度、承認フロー、サプライヤー連携の3点です。更新頻度については、原材料の調達先や製造条件に大きな変化がない場合でも、排出係数データベースの更新サイクル(年次が多い)に合わせて、最低でも年に1回は再算定することが望まれます。承認フローについては、算定担当部門、品質保証部門、対外開示を所管する広報・サステナビリティ部門の3者が関与する形で、算定結果と表示内容のダブルチェックを設計することが基本になります。

サプライヤー連携は、CFPの精度を最も大きく左右する要素です。Scope 3カテゴリ1の精度向上を目的にサプライヤーへCFPデータの提示を求める購入企業が増えており、サプライヤー側にとってCFP算定能力は取引継続の前提条件にもなりつつあります。一次データの提供を要請する側・受ける側の双方で、PCRの統一、データフォーマットの揃え方、機密情報の取扱いを早めに合意しておくと、後の運用負荷が大きく下がります。

CFPを社内で回す目的は、開示への対応に留まりません。ライフサイクルのどこで排出が大きいかが見えれば、そこが製品改善の優先領域になります。CFP算定で見えた改善余地を、製品設計、調達戦略、製造プロセス改善に接続することで、初めてCFPは「コスト」から「投資」に変わります。CFPの社内活用シーン(営業・調達・サプライヤー連携・製品改善・社内意思決定等)の整理は、媒体内記事「CFPの利活用シーン」を参照ください。

7. よくある質問

Q1. CFPとScope 3カテゴリ11は何が違うのですか?

CFPは「製品1単位あたり」のライフサイクル全体での温室効果ガス排出量を見る指標で、対象範囲は1製品です。一方Scope 3カテゴリ11(販売した製品の使用)は、自社が「組織として」販売した全製品の使用段階での排出量を、組織全体で合算する区分です。CFPが製品単位の指標、Scope 3カテゴリ11が組織単位の区分というレイヤーの違いがあります。組織単位の算定と製品単位の算定の使い分けについては、媒体内記事「企業の排出量算定(Scope1〜3)とCFPの違い」で詳述しています。

Q2. CFPとLCAはどう違うのですか?

CFPは温室効果ガスを評価対象とした「指標」で、LCA(ライフサイクルアセスメント)は資源消費、酸性化、富栄養化、生物多様性、水資源など複数の環境影響を評価する「手法」です。LCAという手法を使ってGHG排出量という単一の影響カテゴリーを評価したものがCFP、と位置づけると整理しやすくなります。両者の関係については、媒体内記事「CFPとLCAの違いとは?」を併せて参照ください。

Q3. データ品質が低いCFPは公表しないほうがよいですか?

二次データ中心の初回算定でも、前提条件と限界を明示して開示する選択は十分にあり得ます。CFPは「精度を段階的に上げていく」設計が原則で、初回算定値も対外説明の出発点として機能し得ます。重要なのは、データ品質の現状(一次データ/二次データの比率、ホットスポット領域の精度等)を算定報告書に明記し、次回更新で改善する計画を併記することです。透明性が確保されていれば、データ品質の段階的向上は「対外的な信頼を損なう要素」ではなく、「改善の取り組みを示す材料」として機能します。

Q4. CFPの数値を「環境にやさしい」「カーボンニュートラル」と表示してよいですか?

CFPの数値だけを根拠に「環境にやさしい」「カーボンニュートラル」と表示することは、優良誤認のリスクが高く避けるべきです。CFPが評価しているのは温室効果ガスのみで、資源消費・生物多様性・水資源等の他の環境影響は射程外です。「環境にやさしい」と書けば総合的環境優位性の主張と読まれるおそれがあり、CFP単独の数値では裏付けになりません。EUのECGT指令(Directive (EU) 2024/825)は、温室効果ガスのオフセットを根拠として、製品が排出の点で「気候中立(climate neutral)」「CO2ニュートラル認証(CO2 neutral certified)」「カーボンポジティブ(carbon positive)」「気候影響低減(reduced climate impact)」等であるかのように表示することを、EU域内の消費者向けで禁止対象として明示しています。一方、実際のライフサイクル排出量の削減に基づく主張は、根拠を示せる範囲であれば直ちに禁止されるものではなく、価値連鎖外のオフセットを根拠とした中立・低減主張とは区別して扱う必要があります。CFPに基づく表現は「温室効果ガス排出量で見ると」「製品ライフサイクルでの排出量は」のように射程を明示し、根拠の確認できる範囲に表現を限定することが基本です。

Q5. CFPの表示に第三者検証は必須ですか?

必須ではありません。環境省・経済産業省「カーボンフットプリント表示ガイド」(2025年2月)は、CFPの表示にあたって数値の第三者検証を求めるものではないとしています(同ガイドp.14)。ただし検証を行う場合は、検証実施者(第三者検証機関や内部検証者)が算定に用いたデータにアクセスできるようにすること、第三者検証を行った場合にその旨を記載できることが示されています。検証の有無にかかわらず重要なのは、算定範囲・データ品質・前提条件を算定報告書として開示し、受け手が数値の意味を確認できる状態にしておくことです。

8. まとめ

CFPは、製品の「履歴書」を温室効果ガス排出量という共通単位で記録する指標です。その価値は、ライフサイクルのどこで排出が大きいかを可視化し、改善の優先順位を立てる起点になる点と、社内外で「同じ前提」で議論できる共通言語になる点にあります。

実務上は、ライフサイクル境界の選び方(最終製品はCradle-to-Grave、中間製品はCradle-to-Gateを基本)、活動量×排出係数の基本式とPCRの選定、一次データ/二次データ・カットオフ・シナリオの取り扱い、表示の最小情報セットの整備、社内で回す運用設計、までを順に整えていくのが入門の道筋となります。

CFPは数字の大小ではなく、前提の透明性で信頼を積み上げる指標です。数値の精度を一度で完璧にする必要はなく、まずは「回る形」を作り、段階的に精度を上げる設計が、実務的にも対外コミュニケーション上も最も合理的な進め方となります。CFPを社内で回す仕組みづくりこそが、製品単位の脱炭素経営を支える基盤になり得るものです。

(執筆者:木塚)

自社製品のCFP算定範囲の設定、一次データの収集、表示前のレビューでお困りの場合は、CFP・LCA・EPDの実務経験を持つ専門チームが、目的の整理から算定報告書の作成まで支援します。お気軽にご相談ください。

9. 参考資料

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