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CDPのテクニカルノートを活用し、開示とスコアの質を高める実務ガイド

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CDPテクニカルノートは、質問書やスコアの背景や意図を理解するための実務ガイドです。本記事では、開示設計やスコア向上にどう活用すべきかを解説します。

最終更新日:2026年3月9日

この記事を読んで欲しい人

CDP回答を「毎年なんとなく」作成している担当者
・移行計画・TCFD・SBTiとの整合に悩んでいる方
・CDP回答を実効性ある自社の気候変動対応へつなげたい事務局担当者

目次

導入

CDPの質問書に毎年向き合っているものの、「なぜこの設問があるのか」「どこまで対応すれば(書けば)評価されるのか」が分からず、手探りで回答している――そんな感覚を持つ方は多いのではないでしょうか。
その背景には、質問書本文だけでは見えにくい評価の設計思想があります。そこで鍵となるのが、CDPが公開している「テクニカルノート」です。
本記事では、CDPテクニカルノートとは何か、どのように質問書・スコアと連動しているのか、そして実務でどう使えば開示の質とスコアを同時に高められるのかを、実務目線で整理します。単なる“資料紹介”ではなく、実際に使えるガイドブックとして活用いただくことを目指します。

CDPテクニカルノートとは何か【全体像の理解】

概要

CDPのテクニカルノートは『補助資料』というより、質問・評価の背景と意図を解説する公式ガイダンス資料であり、質問書やスコアリング基準と併せて参照される、CDPの公式文書群の一部です。「正解例」ではなく、「設問の意図」を理解するための文書群と位置づけられます。

主なポイント(要約/サマリー)
  • 質問書だけでは分からない評価観点を補足
  • CDPが期待する水準・考え方を明示
  • スコアリングとの連動を理解できる
  • 実務では“設計図”として活用できる

質問書・スコアリングとの関係性

CDPテクニカルノートの最大の特徴は、質問書やスコアリングメソドロジーと密接に連動している点です。
例えば、気候変動質問書では「移行計画」「シナリオ分析」「Scope 3」など高度な設問が並びますが、その前提となる定義や評価観点は、質問書本文では十分に説明されていません。テクニカルノートは、こうした“省略された前提”を補う役割を果たします。

実務でCDP対応をしていると、「この設問はどこまで書けばいいのか」「なぜここまで求められるのか」と悩む場面が必ず出てきます。テクニカルノートを読むことで、設問が単独で存在しているのではなく、国際的な議論やフレームワークを背景に設計されていることが見えてきます。

実務上のまとめ
  • 設問単体ではなく背景思想を理解する
  • テクニカルノートはスコアリング基準と併せて読む
  • 初年度から継続改善まで、毎サイクル参照する

「正解集」ではない点に注意する

テクニカルノートは、公式ガイダンスでありながら、個社の状況に応じた判断を前提としている点が特徴です。単純な正解例ではなく、評価基準や期待水準を読み解くための解説資料として位置づけられます。評価者が何を重視して評価するかを理解するための公式解説書とも言えます。
実際の記述は抽象度が高く、企業ごとの状況に応じた解釈が前提となっています。ここを読み違えると、「書いてはいるが評価されない」状態に陥りがちです。 重要なのは、テクニカルノートを自社の計画や体制と照らし合わせる視点です。自社の現状と比べて、どの要素が不足しているのか、どこが曖昧なのかを洗い出すための資料として使うと、価値が一気に高まります。初年度に学習効果が高い一方で、その後も毎サイクル参照しながら改善に活かすことが推奨されます。

実務上のまとめ
  • そのまま転記しない
  • 自社文脈で再解釈する
  • ギャップ分析の材料に使う

主なテクニカルノートの種類と位置づけ

概要

CDPテクニカルノートには複数の種類があり、テーマごとに役割が異なります。本節では、特に実務影響の大きい代表例を取り上げます。すべてを読む必要はなく、自社に関係するものを見極めることが重要です。これらの違いを理解することが、後述するスコア向上やギャップ分析の前提になります。

主なポイント(要約/サマリー)
  • 気候移行計画テクニカルノートがCDP開示の中核を担う
  • Scope 3重要性分析ノートは算定・開示範囲の判断軸を示す
  • テクニカルノートはテーマ別に役割が明確に分かれている
  • すべてを読むのではなく、自社テーマに絞って参照する

気候移行計画テクニカルノート

2022年に公表された気候移行計画テクニカルノートは、現在のCDP開示の中核とも言える存在です。
ここでは「信頼できる気候移行計画」とは何かが定義され、ガバナンス、シナリオ分析、財務計画、目標設定など8要素・6原則が体系的に整理されています。

実務で印象的なのは、TCFDの4本柱と強く連動している点です。つまり、このテクニカルノートを理解することは、CDPだけでなくTCFD対応全体の底上げにもつながります。

実務上のまとめ
  • 移行計画の全体像を掴む
  • TCFDとの対応関係を整理
  • 中計・戦略資料の見直しに活用

Scope 3排出量の重要性分析と各セクターの関連性評価指針テクニカルノート

このテクニカルノートは、Scope 3排出量を「どこまで算定・開示すべきか」を判断するための公式な思考フレームを示したものです。CDPではScope 3を一律に算定・開示することを求めるのではなく、セクター特性やバリューチェーン上の位置づけに応じて、どのカテゴリーが重要(relevant)かを評価することを重視しています。本ノートでは、産業セクターごとにScope 3の関連性が高いカテゴリーが整理されており、「なぜそのScope 3が重要と見なされるのか」という評価ロジックが明示されています。実務的には、Scope 3の未算定や限定的開示がそのまま減点につながるのではなく、重要性分析を踏まえ、なぜそのカテゴリーが重要/重要でないと判断したのかを説明できているかが評価の分かれ目になります。そのため本ノートは、Scope 3の優先順位付けや、未対応カテゴリーに対する合理的な説明を構築するための根拠資料として極めて有効です。

実務上のまとめ
  • Scope 3は「網羅性」ではなく「重要性評価」が前提
  • 自社セクターで関連性が高いカテゴリーを優先的に把握する
  • 未算定・未開示の場合は理由と今後の対応方針を明示する
  • Scope 3の説明は算定有無だけでなく判断プロセスが評価対象
  • スコアリングメソドロジーと併読し、評価上の論点を事前に確認する

CDP質問書回答での具体的な使い方

概要

テクニカルノートは、質問書回答の「前」「最中」「後」のすべてのフェーズで活用できます。特に初期設計とレビュー段階で効果を発揮します。

主なポイント(要約/サマリー)
  • 回答設計のチェックリストになる
  • 記述レベルの判断材料になる
  • 抜け漏れ防止に役立つ

回答設計時のチェックリスト活用

質問書に着手する前に、該当するテクニカルノートを一読しておくだけで、回答の質は大きく変わります。
例えば移行計画に関する設問では、「ガバナンス」「財務影響」「年次進捗管理」といった要素が、どこまで求められているのかを事前に把握できます。

この段階で「書けない項目」を洗い出せれば、社内ヒアリングや資料収集の優先順位も明確になります。

主なポイント(要約/サマリー)
  • 回答前に読むのが最重要
  • 書けない項目を可視化
  • 事前準備の質が上がる

ドラフトレビューでの再確認

回答ドラフトができた後、テクニカルノートに立ち返ると、「書いたつもりだが評価されにくい」箇所が見えてきます。
特に多いのが、定性的説明だけで終わってしまい、意思決定や実行プロセスが見えないケースです。
テクニカルノートは、こうした“あと一歩”を補う視点を与えてくれます。

主なポイント(要約/サマリー)
  • 定性だけで終わっていないか確認
  • 意思決定プロセスを明示
  • マネジメント水準を意識

スコア向上・ギャップ分析への応用

概要

CDPスコアを伸ばすには、単なる記述量ではなく「水準の理解」が不可欠です。テクニカルノートは、その水準を測る物差しになります。

主なポイント(要約/サマリー)
  • スコア段階の違いを理解できる
  • D/C止まりの理由が見える
  • 改善優先順位を付けやすい

スコアリングメソドロジーとの併読

テクニカルノートは、スコアリングメソドロジーと併せて読むことで真価を発揮します。
「Disclosure→Awareness→Management→Leadership」という段階のうち、自社がどこで止まっているのかを具体的に把握できます。

主なポイント(要約/サマリー)
  • 水準ごとの違いを意識
  • 次に求められる要素を特定
  • 改善ロードマップを描く

移行計画を軸にした底上げ

特に気候移行計画は、多くの設問とスコアに横断的に影響します。ここをテクニカルノートを参照しながら整備することで、結果的に全体スコアが底上げされるケースも少なくありません。

主なポイント(要約/サマリー)
  • 横断テーマから手を付ける
  • 計画と開示を一体で考える
  • 中長期視点で改善

組織内での活用と進め方

概要

テクニカルノートは個人プレーではなく、組織的に活用してこそ効果を発揮します。事務局主導での整理が鍵です。

主なポイント(要約/サマリー)
  • 読む人を決める
  • 要点を翻訳・共有する
  • CDP対応を属人化させない

部門横断での使い方

すべての担当者に原文を読ませる必要はありません。事務局が要点を整理し、部門別に必要な部分だけ共有する方が現実的です。

実務上のまとめ
  • ノートと設問を紐づける
  • 担当部門を明確化
  • 共通理解を作る

中長期の開示高度化につなげる

テクニカルノートは、その年のCDP対応だけでなく、中期的な開示高度化の指針にもなります。毎年少しずつ反映していくことで、無理なく水準を引き上げられます。

実務上のまとめ
  • 単年対応で終わらせない
  • 中計・戦略と連動
  • 継続的改善を前提に

参考文献

[1] https://www.cdp.net/en/disclose/how-to-disclose

[2] CDP Technical Note: Relevance of Scope 3 Categories by Sector 
https://assets.ctfassets.net/v7uy4j80khf8/7IMWM6as4pKGKp3GdITUEO/f29ca4bbde713adedd7e936e1376061e/CDP_Technical_Note_on_Scope_3_Relevance_by_Sector.pdf

[2] CDP Technical Note: Climate Transition Plans 
https://cdn.cdp.net/cdp-production/cms/guidance_docs/pdfs/000/003/101/original/CDP_technical_note_-_Climate_transition_plans.pdf?1749500046

https://pactodealcaldes-la.org/wp-content/uploads/2017/10/CDP-technical-note-science-based-targets.pdf

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